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クエリ検索: "宇宙検閲官仮説"
12件中 1-12の結果を表示しています
  • 山口 大輝, 石橋 明浩, 太田 信義
    日本物理学会講演概要集
    2020年 75.1 巻 16aK17-10
    発行日: 2020年
    公開日: 2022/02/04
    会議録・要旨集 フリー
  • 泉 圭介
    日本物理学会誌
    2023年 78 巻 9 号 525-529
    発行日: 2023/09/05
    公開日: 2023/09/05
    ジャーナル 認証あり

    もしブラックホール周辺の観測量をすべて知ることができるという究極に理想的な状況があったとすると,ブラックホールの諸定理を検証できるのであろうか? ブラックホール合体により生成される重力波の検出や,ブラックホール影の直接観測が報告され,ブラックホールは観測により検証できる時代になりつつある.一方で,ブラックホールの数理研究は1960年代ごろから行われ,一般相対性理論をもとに様々な定理が証明されてきた.しかし残念ながら,たとえすべて観測可能量を知っている理想的な状況であっても,観測から定理を検証することはできない.なぜならば,ブラックホールの諸定理では理論を構築する上で観測できない領域として定義されるブラックホールの存在を仮定しているからである.

    さて,ブラックホールは量子重力理論の思考実験場として用いられている.量子効果を考えるとブラックホールは熱輻射(ホーキング輻射)し,蒸発する.ブラックホールの諸定理とホーキング輻射とを合わせて,ブラックホール熱力学が構築される.この熱力学には情報消失問題と呼ばれる問題がある.情報消失問題の解決は量子重力理論を理解する手がかりと考えられており,超弦理論を用いた解析が進んでいる.しかし,情報消失問題の議論は蒸発の過程で情報が返ってくることを示すことである.情報が取り出せないブラックホールの存在を仮定して導いた定理を用いた情報消失問題の議論では,情報が取り出せないという仮定と情報が返ってくるという結論が矛盾するため,どこかに不具合が生じるであろう.

    ブラックホールの諸定理を観測または思考実験に対応できる形に改良するには,観測不可能な領域として定義されるブラックホールを用いず,定理や数理解析を拡張する必要がある.そこで,観測不可能な領域という従来のブラックホールの定義から離れ,一方で重力の特徴を上手に捉えた領域を定義し,その領域に対する定理の構築を試みよう.

    ブラックホール熱力学において,ブラックホールの表面積は系のエントロピーに対応する.系の状態数を示すエントロピーは系が持ち得る情報量を表すため,ブラックホールの表面積を通してエントロピーを理解することが情報消失問題解決の鍵であると考えられる.そこで,我々はブラックホール表面積に関する定理の一般化を行った.

    エネルギーを固定した系においてエントロピーに上限があることから,ブラックホールの表面積に対する上限値を与える不等式(ペンローズ不等式)が予想される.ペンローズ不等式の厳密証明はまだないが,同質な不等式の証明が数学者により与えられている.リーマン–ペンローズ不等式と呼ばれるこの不等式は,ある時間一定面上に埋め込まれた二次元閉曲面の中で,その面積が極小となる,つまり平均曲率が0になる面(極小曲面)に対する面積の上限を与える.極小曲面はブラックホール表面とおおよそ対応する.しかし,厳密にはブラックホール表面と一致しないため,ペンローズ不等式の完全な証明とはなっていない.そうではあるが,リーマン–ペンローズ不等式による面積上限値の存在から,極小曲面がエントロピー的に解釈される期待がある.ただ,極小曲面は一般にはブラックホール内に取り込まれていることが多く,先に議論したように観測や思考実験に対応できる形であるとは言い難い.

    我々は,リーマン–ペンローズ不等式に関して,いかなる弱い重力場に対しても適用できる一般化に成功した.我々の不等式はブラックホールの十分外側にある面に対しても適用可能であり,先に問題に挙げた観測や思考実験にも対応できる表式である.また,弱い重力予想などの強重力場で行われる量子重力理論の議論が,弱重力場中の面に関しても同様に行えることを示唆する.

  • 野海 俊文, 佐竹 響
    日本物理学会講演概要集
    2019年 74.2 巻 18aS12-13
    発行日: 2019年
    公開日: 2022/02/02
    会議録・要旨集 フリー
  • 石橋 明浩
    日本物理学会講演概要集
    2019年 74.1 巻 15pK407-4
    発行日: 2019年
    公開日: 2022/01/30
    会議録・要旨集 フリー
  • 石橋 明浩
    日本物理学会講演概要集
    2008年 63.1.1 巻 23pZB-6
    発行日: 2008/02/29
    公開日: 2018/03/03
    会議録・要旨集 フリー
  • 太田 信義
    日本物理学会講演概要集
    2008年 63.1.1 巻 23pZB-4
    発行日: 2008/02/29
    公開日: 2018/03/03
    会議録・要旨集 フリー
  • 松本 重貴
    日本物理学会講演概要集
    2008年 63.1.1 巻 23pZB-3
    発行日: 2008/02/29
    公開日: 2018/03/03
    会議録・要旨集 フリー
  • 宮本 雲平
    日本物理学会誌
    2011年 66 巻 8 号 610-614
    発行日: 2011/08/05
    公開日: 2019/06/14
    ジャーナル フリー
    真空中に存在できる4次元ブラックホールは種類も限られ,比較的単純な構造を持つ.しかし,ひとたび高次元時空を考えると真空でも様々なブラックホールが存在し,多様な現象が起こる.例えば,高次元では球以外にも円筒・平板・トーラスといった形状を持つブラックホールが存在し,それらの間で不安定性を引き金とした「相転移」さえ起こる.そのような動的過程は非線形性の強い複雑な現象と予想されるが,近年発見された「流体・重力対応」を用いれば平易な流体力学として記述できるという.本稿では,一般相対論・流体力学の基礎までさかのぼり,流体・重力対応のエッセンスと高次元ブラックホール研究への応用を紹介する.
  • 田中 貴浩
    日本物理学会誌
    2021年 76 巻 1 号 51-52
    発行日: 2021/01/05
    公開日: 2021/01/05
    ジャーナル フリー

    学界ニュース

    2020年ノーベル物理学賞:R. Penrose氏「一般相対論にもとづくブラックホール形成の確固たる予言」;R. Genzel氏,A. Ghez氏「天の川銀河中心の超巨大高密度天体の発見」

  • 領域委員会
    日本物理学会誌
    2021年 76 巻 7 号 468-477
    発行日: 2021/07/05
    公開日: 2021/07/05
    ジャーナル フリー

    学会報告

    第76回年次大会(2021年) シンポジウムの報告

  • 石橋 明浩
    日本物理学会誌
    2016年 71 巻 5 号 302-310
    発行日: 2016/05/05
    公開日: 2016/07/12
    ジャーナル フリー
    ブラックホールは物理の中でも最も有名で最も不思議な対象の一つである.一般相対論の完成からほどなく, K.シュヴァルツシルトがアインシュタイン方程式の最初の厳密解を発見(1916年)して,ちょうど100年になる.その解の表す時空がブラックホールの概念に結びつき,宇宙に実在しうる天体として受け入れられるまでには,さらに半世紀の時間がかかった.今ではブラックホールの直接検証へ向けた様々な観測計画が進められている. 4次元宇宙のブラックホールは,質量と角運動量だけで完全に特徴づけられることが数学的に証明されている.「一意性定理」とよばれるこの事実の意義は計り知れない.私たちの観測宇宙に,それこそ星の数ほどあろうブラックホールが,驚くべきことにカー(Kerr)解とよばれるたった一つの厳密解で完全に記述できるのである.S.チャンドラセカールのいうように「4次元宇宙のブラックホール研究は,カー解の研究につきる」のである.ところが,超弦理論やブレーン宇宙論といった高次元重力研究の進展とともに,ここ 10数年ほどで高次元ブラックホールの研究が著しく発展し,その不思議な世界があらわになってきた.特に人々を驚かせたのは, 5次元以上だと球状のブラック・ホールだけでなく,リング状のものや,土星状のブラックホールも可能となり,そうしたブラックホール解が実際に(数学的に)発見されたことであった.つまり,一意性定理のおかげで 4次元宇宙のブラックホールは基本的に理解されていたが,高次元になると途端に豊かな世界が広がることが明らかになってきたのだ.こうした多様性の要因は,一つには高次元ではブラックホールが独立な複数の角運動量をもつことができ,しかも必ずしも上限がなく高速回転できること,もう一つは高次元ではホライズンが膜のように拡がりうることにある.ブラック・ストリングのようにある方向に膜状に伸びたブラックホールは不安定になると予想される.実際に数値的研究により多くの高次元ブラックホールの不安定性が判明し,そこから新たな種類のブラックホール解への分岐,つまりますます豊かな多様性の発現が示唆される,といった具合である.新しい厳密解の発見とその安定性解析が進む一方で,こうした多様性を系統的に理解すべく数学的諸定理の研究も進んでいる.例えば,ブラックホールの可能な形状を制限する「トポロジー定理」,定常ブラックホールがもつ対称性の拡大を意味する「剛性定理」などであり,高次元ブラックホールの分類問題も少しずつ進展を見せている.さらに数理的な発展だけでなく,素粒子物理,加速器実験,さらにはホログラフィー原理を通して物性物理などとの関係も広がった.例えば,加速器実験で実際に高次元ブラックホールが探査されたり, AdS/CFT対応を用いた高次元ブラックホールによる超伝導現象の理解など,宇宙や重力と全くかけ離れた物理系との“意外なつながり ”も見えてきた. 4次元とは比べものにならないほど多彩で不思議な高次元ブラックホールが,今後も重要な研究対象であり続けるのは間違いない.本稿では,高次元ブラックホールの世界を概観し,最近の進展や今後の展望についても解説する.
  • 松田 卓也, 二間瀬 敏史
    日本物理学会誌
    1983年 38 巻 8 号 636-643
    発行日: 1983/08/05
    公開日: 2008/04/14
    ジャーナル フリー
    時間には過去と未来の非対称性があるが, これを時間の矢とよぶ. ふつうは, 熱力学第二法則に基づく熱力学的時間の矢がよく知られている. その他にも, 波動的矢, 微視的矢, 歴史的矢, 宇宙論的矢, 心理的矢などがある. これらの矢の相互関連を述べ, 宇宙論的矢と宇宙の初期条件が基本的に重要であることを示す.
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