本研究では, 精神分裂病者の手作業能力を測定するため, 折り紙を利用した手作業テストを考案して実施した. 本症においては動作の緩慢さなどの身体症状が観察される. そこで本研究では, 体力測定, 心理テスト, 作業能力テストを行い, これらの諸能力および精神症状と手作業テストについて多角的に研究を行った. その結果, 被験者らは筋力, 敏捷性および手作業能力が非常に低いことが認められた. また, その成績の高低と本症における精神症状の軽重との関連性が示唆された. これは本症に随伴する精神症状であるところの能動的・自発的行動の抑制に起因することを示唆するものであり, 分裂病者の作業能力に強く作用していることが推察された. さらに, 本研究で考案した手作業テストは, 施行, 判定が簡単なうえに経済的であり, 分裂病者の手作業能力の判定において優れた方法であることが示唆された.
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