今日、村落の混住化現象は広く見られ、新しいタイプの地域社会としての様相を深めつつある。従来の村落の混住化現象に関する研究は、資本の高蓄積過程との関わりを重視するあまり、村落内部における地付層と来住した非農家層との対応関係についての把握は不十分であったと言わざるを得ない。それゆえ、本稿においては一事例をとりあげ、地付層、とりわけ、村落リーダー層と非農家層との対応関係がいかに展開されているかを中心に村落の変容・再編過程を明らかにする。
その際、行政の末端機構として位置する部落会をとりあげ、その運営の主たる財源である部落協議費 (区費) の賦課基準の変遷過程を中心にみていきたい。本事例にあっては、昭和三四年度の本格的な区費制度の導入以降これまで三度にわたって変更が行われてきた。そこには村落リーダー層の「伝統的威信の維持」という論理が貫かれ、区費順位は固定化する傾向が指摘できる。
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