本研究は、過疎地域において自家用有償旅客運送による貨客混載と共に、地域組織が集落拠点を活用して末端輸送を集約的に担う複合輸送システムの実現可能性を検討した。具体的には、宮崎県西米良村小川地区で実施された国土交通省の「地域を支える持続可能な物流ネットワークの構築に関するモデル事業」による貨客混載実証実験を対象に、物流実態、郵便・宅配事業者や地区住民、集落拠点施設や貨客混載の利用者への調査を行い、本格実施に向けてのニーズや条件等を把握した。この結果、1)物流量は貨客混載の適用範囲内であり、2)地区住民、利用者のニーズは高く、郵便・宅配事業者の利点があることを明らかにした。また、3)共同集配に向けて事業者間で異なるサービス内容や水準の調整事項を特定し、4)集落拠点施設の集配体制整備の必要性を明らかにした。
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