小柴胡湯は七つの生薬からなる漢方処方であり, 日本で最も多く用いられているが, 最近副作用が話題になっている。そこで小柴胡湯の古来の薬効や応用, 服用の注意事項等を明らかにすべく, 中国, 日本における漢方の古典を調査した。
小柴胡湯は『傷寒論』に十数項目に及ぶ条文が記載されており, 応用の広い処方であるが, 基本的には傷寒の熱病に対して用いられる。中国では時代を経るにつれ, 処方を構成する生薬の種類や薬効も変化してきた。一方, 日本では鎌倉時代頃から小柴胡湯が使用され始めている。江戸時代には胸脇苦満,
寒熱
往来, 食欲不振, 嘔吐の症状を主な目標として使用されるようになってきた。小柴胡湯は古くから用いられ, 大変有用性の高い処方であるが, 一方漢方医学的な診断が不適切であると, 副作用をおこすことも示されていた。
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