観察による運動,動作分析は限られた時間の中で,対象者の状態を把握する手段として重要な評価手段であることは間違いない。しかしながら,不確定要素が数多くある中で,共通認識を高めることは難しく,そのことは学内実習や臨床実習という教育場面でも大きな歪みとして露呈している。不確定要素の第1にあげられるのが,運動学,特に運動制御理論の未成熟さであるが,一つ間違えるならば「最終的には未だわからないことが多い」という安易な逃げ道として利用されることも少なからずあると思われる。しかし,現在進行形で深まっている運動制御に関する知識を吸収しつつ,運動,動作分析の技術を磨いて行くことが理学療法士には要求されている。そのような現状を踏まえ,上記のテーマにしたがって分科会をおこなった。ここでいう科学的検証というのは,単に精密機器を用いて測定するということではなく,科学的思考のもとに運動,動作分析について検証することである。
抄録全体を表示