目的 : 著者らは, 10%緩衝ホルマリン (ホルマリン) 固定セルブロック (CB) が, 乳癌細胞診検体を用いた受容体検査に適していることを報告している. 今回は, 液状化検体細胞診 (LBC) 法の残余検体で作製した CB を検査に用いることができるかどうかを検討した.
方法 : 乳癌切除検体腫瘍部を穿刺して細胞を採取し, ホルマリン, BD サイトリッチレッドTM保存液 (BD 液) (10 件), PreservCyt 液 (5 件), TACAS Ruby (10 件), Cellprep FNA・体腔液用バイアル (10 件), 95%エタノール (10 件) の 6 種類の固定液で固定後 CB 化し, 組織検体と同様の染色条件でホルモン受容体と HER2 蛋白に対する免疫染色と, HER2 dual in situ hybridization (DISH) を行った. それぞれの染色性についてホルマリン固定 CB 標本の染色結果を対象に比較した.
成績 : BD 液固定のみ, ホルモン受容体および HER2 検査についてホルマリン固定と同等の安定した結果が得られた.
結論 : BD 液固定乳癌細胞診検体 CB は, ホルマリン固定標本と同じ染色条件で受容体検査を行うことができる.
抄録全体を表示