【目的】コーヒーは嗜好飲料として世界中で親しまれており,日本のコーヒー消費量は世界で第4位である。一般的にコーヒーの味や風味は,その産地や品種により異なると言われているが,コーヒーに関する研究は豆についての報告が多く,浸出液について比較した報告は少ない。そこで本研究では,産地の異なる同一品種のコーヒー豆から得た浸出液の特徴を比較検討することを目的とした。
【方法】コーヒー生豆は,2017年産の生産地の異なる(グアテマラ産,ルワンダ産,パナマ産,ブラジル産)アラビカ種のブルボン品種を用いた((株)
小川珈琲
より供与)。これらを同一条件で焙煎(中煎り),粉砕(中挽き)したもの10 gに90℃の熱湯150gを加え1分間浸出させたものを浸出液試料とし,総ポリフェノール量(フォーリンデニス法),有機酸総量(滴定酸度),pH,全糖量(フェノール硫酸法)を測定した。
【結果および考察】コーヒー浸出液の総ポリフェノール量(クロロゲン酸当量μg/ml)は,グアテマラ産で106.2,ルワンダ産で79.0,パナマ産で57.0,ブラジル産で103.1となり,産地により異なった。pHは5.2程度,有機酸総量(0.1N NaOH ml/50ml)は3.5程度であり,どの地域のものも差はなかった。全糖量(μg/ml)は,グアテマラ産で2.8,ルワンダ産で2.7,パナマ産で2.5,ブラジル産で2.8と産地によって大きな差はなく,どの地域のものもわずかであった。コーヒーの味や風味には,コーヒーポリフェノールの一つであるクロロゲン酸や,有機酸の組成,褐色色素やカフェインなどが影響を与えていると考えられるため,今後はより詳細な分析および官能評価をする予定である。
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