視機能の障害はquality of lifeに大きく影響するため、非臨床安全性試験の眼科検査で遭遇した眼病変が、薬剤起因性の眼毒性であるかを適切に評価することは極めて重要である。眼科検査には専門の検査技術及び機器を必要とする他、眼科学に関する専門的な知識が必須であり、これらを習得する教育の場が求められる。
比較眼科学会は、動物眼科学に関する研究の促進、成果の普及を図るため、年次大会、基礎講座及び研究会等を通した継続教育、機関誌(比較眼科研究)の発行、海外の関連学会との交流等の活動を行っている。また、専門職認定制度を設けており、本学会員が所属する各機関の眼科検査技術の水準は年々向上している。2016年12月、眼科検査担当者と基礎眼科学専門家を交えての水晶体毒性に関するグループディスカッション(GD)を本学会主催により実施した。非臨床安全性試験の眼科検査において比較的高頻度で認められる水晶体混濁をテーマに、本病変に遭遇した際にどのように所見を記録するか、所見を確定するまでの留意点や、混濁の発生要因について議論した。さらに、発生要因を考察する上で有用となる周辺情報(各種検査データ、背景データ、薬理作用等)を列挙し、それらを活用して水晶体混濁の発生機序について仮説を立てた。水晶体混濁の発生要因は多岐にわたることから、毒性評価に必要な判断材料を整理しておくことは、試験責任者及び基礎眼科学専門家のみならず、眼科検査者や病理検査者をはじめとする試験従事者が試験操作をより適切に実施し、関係者に報告する上でも役立つと思われる。
本発表では、比較眼科学会の教育活動について紹介した上で、GDで議論された内容を基に、水晶体混濁に遭遇した際に考慮すべきポイントを提示する。
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