生糸は数本の繭糸からできており, その配列, 引揃えならびに膠着の状態に関して従来は抱合という表現でされてきたが, 抱合検査のみでは繭糸の集合性を適確に把握することは困難である。著者らは生糸における繭糸の集合性の本質を究明するための新しい1つの方法として, 引張り前の繊度ならびに切断時の繊度を測定し, 繊度減少の割合を求めるほか, 単位伸度当り繊度減少率を調査した。
繰糸巻取速度の大, 中および小の3区の21中生糸につき調べた結果, 繊度減少率ならびに単位伸度当りの繊度減少率は張力小区において大きく, 大区は小さい。また抱合試験によれば張力の大きいものは小さいものに比して抱合の良い成績を得た。
これらの結果より張力の大きい繰糸法をとつた場合, 繭糸の引揃え, 配列性ならびに膠着性がよくなり, 固くしまった生糸ができることが考えられ, 繊度減少率ならびに単位伸度当り繊度減少率は, 生糸を構成する繭糸の集合性を究明する上に, きわめて有効な特性であることが明らかにされた。
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