在宅医療における処置や治療 (一般的な投薬は除く) に関わるケア・対処がどのような状況にあるかを推測するため, 在宅ケアに積極的に取り組んでいる全国各地の医療機関を収載した一書籍内にある, ケア内容についてのアンケートの回答を集計した。その結果は次のようであった:(1) ケア内容の種類とその実施率;多種におよぶケア項目が挙げられていたが, 点滴, 膀胱・尿カテーテル, 注射, 経管 (経鼻・経胃・経腸) は, それぞれ8割以上の医師が実施していた。中心静脈栄養, リハビリも多く認められた。(2) 診療施設形態 (病院・診療所) 別にみたケア内容;点滴, 注射, 在宅酸素の実施は, いずれも病院で行う在宅ケアより診療所での実施率が高かった。(3) 診療医師の年代別にみたケア内容の実態;様々なケア項目の実施率には年代間で大差を認めなかった。今回の調査で, 本邦での在宅医療の一線レベルにおけるケア内容の実施状況を概観し得た。居宅で比較的多く行われるケア内容はニーズや有用性の高いケアと思われるが, これらの実施には, 診療機関の有する性格・機能が影響する様子も認められた。
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