本研究は,GFRP板と鋼板との高力ボルト摩擦接合の実構造物への適用性を目指して,実験的な検討を行った.接合面の静止摩擦力に及ぼす表面処理の影響を簡便に評価するためのスクリーニング法(以下,すべり傾向試験という)を考案した.表面処理の組み合わせをすべり傾向試験により検討して,施工性を考慮した3パターンを絞り込んだ後,摩擦接合継手試験を行い,すべり係数を取得した.その結果,GFRP板側と鋼板側には,硬度が同種となる無機ジンクリッチペイントを施工して,摩擦接合面を形成するケースが最も高いすべり係数を得ることができた.
FRP材料の接合時にボルト軸力の低下の要因となるFRP板のクリープ現象については,本締め時の設計ボルト軸力以上の軸力を予備締めの工程で導入することで,ボルト軸力の低下の抑制が示唆された.
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