今日,日本の学校教育の特徴の一つである特別活動の意義づけなどについての関心が国内外で高まってきている。このような動向を背景として,「学級活動でOECD準拠型コンピテンシーを育成するための指導方法の開発に関する研究」では,特別活動において,経済協力開発機構( Organisationfor Economic Co-operation and Development:OECD) が提唱する21世紀型コンピテンシーを育成するための指導方法について検討する。なお,ここで言う「学級活動」とは,小学校及び中学校学習指導要領における特別活動を構成する学習活動の一つであり,学習指導要領では「学級」とは「共に生活や学習に取り組む同年齢の児童( 生徒) で構成される集団」と定義されている。OECDでは,アンドレアス・シュライヒャー( Andreas Schleicher) を中心に教育スキル局で生徒の学習到達度調査( Programme for International StudentAssessment:PISA) を進めている。筆者らは,この調査で測定されるコンピテンシーをOECD準拠型コンピテンシーとして,日本の教育課程を構成する一領域である特別活動で育成することが求められている資質・能力との関係を明らかにする。現在のOECD準拠型コンピテンシーとして,知識( Knowledge),スキル( Skills),態度・価値( Attitudes and Values) の三つの内容がDeSeCo2.0( Definition and Selection of Competencies: Theoreticaland Conceptual Foundations 2.0:デセコ2.0)として提唱されている。本研究では,小学校の学級活動を事例として,学級の実態を踏まえ,よりよい学級・学校生活づくりを実現するための資質・能力をOECD準拠型コンピテンシーと捉え,それを育成するための指導方法の開発を試みる。
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