目的:実習時間が縮減された看護学部4年次生に対して,附属病院の臨床指導者と協働し,看護連携型ユニフィケーションを基盤とした卒業前研修を実施し,リスク感性や熟慮性の変化などからその効果を明らかにする.
方法:対象者12名に対して経管栄養に関するシミュレーション教育を実施し,研修前後,1か月後のリスク感性尺度,認知的熟慮性-衝動性尺度,技術の獲得状況を測定(回収率100%)した.分析は反復測定による一元配置分散分析を行い,多重比較はBonferroni法を用いた.
結果:研修前後,研修1か月後で比較した結果,リスク感性平均総得点と標準偏差は研修前109.67±7.06点.研修直後119.00±13.98点.研修終了1か月後119.08±8.87点であり,研修前と研修直後および研修前と研修終了1か月後の平均得点に有意な差が示された(F(2,33)=4.58,p<.05).認知的熟慮性-衝動性尺度の得点については,有意差はみられなかった.
考察:臨床指導者と看護基礎教育者が連携してシミュレーション教育を用いて教材と教育介入の工夫をしたことは,学生に臨床場面を想起させ学修への動機づけを促進し,リスク感性の向上につながる関わりとなった.
結論:看護連携型ユニフィケーションを基盤とした4年次生に対する卒業前研修は,リスク感性の向上につながった.
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