本論文は,北陸地方において大正期に開催された自由画展に関する新聞報道を分析し,この地域における自由画教育の展開を明らかしたものである。本論文では,大正9(1920)年に開催された「世界児童自由画
展覧会
」を取り上げ,北陸地方を巡回した同展に関する報道から,自由画展の開催状況や自由画に対する有識者の見解,児童や一般参観者の感想,出品作品などの分析を行った。高岡市で開催された本
展覧会
については別に報告したが,本論文では福井,金沢,富山各市の開催状況や各地域の有識者の見解,作品評などを新たに加え分析を行った。調査の結果,この
展覧会
の新聞報道には,自由画教育運動として図画教育の転換が図られた当時の実情が克明に記録されており,新しい教育の波が北陸地方に伝播した状況を明らかにすることができた。
抄録全体を表示