水中のAu(III),Mo(VI)及びV(V)イオンの緑茶(抹茶)の粒子表面での吸着特性を調べた.緑茶は,希硫酸溶液中でホルマリン処理して使用した.ホルマリン処理茶(以後処理茶と略記;通常0.1又は0.5使用)を,Au,Mo及び(又は)Vを含む100mlの試料溶液に添加して30分間かき混ぜた.次いで遠心分離して上澄み液中の各イオン濃度をAAS装置を用いて測定した.Au及びMoにっいてはpH 1~6,VについてはpH3~6において80%以上の吸着率を示した.この条件における等温吸着曲線及びLangmuirプロットから得られた最大吸着量は,Au,Mo及びVに対してそれぞれ23,12及び35mg g
-1であった.Au,Mo及びVをそれぞれ50,200及び150μg含む100ml試料溶液に10又は30gの硝酸亜鉛(II)を添加しても吸着率は変化しなかった.塩化ナトリウム,硫酸ナトリウム,シュウ酸ナトリウム,8-キノリノール,1,10-フェナントロリン及びEDTAの共存による金属イオンの吸着率に対する影響を調べた.Auの吸着率はどの物質によっても影響を受けなかったが,Moの吸着率は1,10-フェナントロリン又.はEDTAの共存によって著しく低下し,Vの吸着はEDTAの共存によって著しく阻害された.
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