2010年から「瀬戸内国際芸術祭」がスタートしている。アートによる地域活性化をめざすこの芸術祭では,古い家屋を改修・改築する「家プロジェクト」や廃工場をアートで再生する取り組みが展開されている。このように現代芸術で地域社会を活性化させようとする動きは,都市から里山・離島に至るまで全国各地で興っている。そして,それらの地域において市民と芸術家,さらに諸団体が相互に連携して地域環境を素材とした環境芸術の作品を作り出している。そこで,本論においては,日本における「環境芸術」と地域社会との関係性の変遷を彫刻設置事業とアート・プロジェクトを手がかりに整理することで,「環境芸術」が地域社会とどのような関係を持ってきたのかを明らかにし,現代社会における意義を考察する。
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