75歳以上の腎不全症例で透析を導入した20症例 (男10, 女10) を死亡群6例と生存群14例に分けて, その導入期の臨床所見を比較検討した. 両群合わせての原疾患は慢性糸球体腎炎と腎硬化症が75%を占め, 糖尿病性腎症は10%のみであった. 臨床所見では死亡群において, 血清総蛋白 (5.77±0.85g/d
l vs 6.62±0.63g/d
l, p<0.05) とアルブミン (2.79±0.579/d
l vs 3.67±0.53g/d
l, p<0.01) が低く, 血漿Na (145.08±6.47mEq/
l vs 137.47±6.42mEq/
l, p<0.05) とCl (110.67±7.90mEq/
l vs 101.67±857mEq/
l, p<0.05) が高い傾向にあり, 6例中5例が透析中の低血圧を呈しており, 膠質浸透圧低下による血管内への水分保持障害と高張性脱水の関与が示唆された.
さらに死亡群では導入早期に死亡した例が多く, 導入期の除水管理が予後を改善するものと考えられた.
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