本研究では,カウンセリング的手法を用いたコミュニケーション指導を行い,各手法で用いた記録用紙の記述を分析したり,また,班の学び合いの様子を班ごとに8mmビデオで1学期間にわたり録画し,質的な分析を行った。その結果,カウンセリング的手法を用いたコミュニケーション指導について,生徒がコミュニケーション活動を行うことは価値のあることであると認識している事実が明らかとなった。また,授業の初期の段階で,コミュニケーション指導を行い,生徒がコミュニケーション活動のしやすい環境を整えておくと,質問‐返答対が増加したり,対話者対が増加するなど,生徒同士の円滑なコミュニケーション活動が生起することが明らかになった。また,そのようなコミュニケーション活動の中で,生徒の認知的有能感や社会的有能感が上昇することが明らかになった。また,ローカルな学びが自律的に生起することが明らかになった。
抄録全体を表示