新しいpyridone-carboxylic acid系合成抗菌剤T-3262について基礎的, 臨床的検討を行い以下の成績を得た。
1)
Staphylococcus aureusについては本剤のMICのピークは0.05μg/mlで, ofloxacin (OFLX), ciprofloxacin (CPFX) に勝るものであった。
Escherichia coliについてはOFLXと同等でCPFXには勝る成績であった。
Proteus mirabilisではOFLX, CPFXに劣るが,
Klebsiella, Serratia marcescens, Pseudomonas aeruginosa ではCPFXと同等でOFLXには勝っていた。
2)
Chlamydia psittaci に対するT-3262のMICは0.025μg/mlで, minocycline (MINO) と同等で, erythromycin (EM), CPFX, OFLXには勝っていた。
Chlamydia trachomatisでは0-05~0.1μg/mlのMICでMINOにはやや劣るが他剤には勝るものであった。
3) 呼吸器感染症27例を対象に本剤を1日225~600mg, 分2もしくは分3で3~14日間投与した結果, 効果判定可能症例25例での有効率は, 著効1例, 有効18例, やや有効4例, 無効2例の76.0%であった。
副作用は27例中4例に認めた。その内訳は不眠および食思不振, 腹部膨満, 前胸部掻痒感咳嗽各1例である。また, 2例で軽度のTransaminase上昇, 1例でLDHの軽度上昇がみられた。
以上の結果, T-3262は急性および慢性呼吸器感染症に有用な薬剤と考えられた。
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