目的:川崎医科大学
産婦人科で経験したHPV陽性CIN症例において, LEEPを用いた外科的処置の有無が予後にどのように関連しているかをretrospectiveに解析しCIN患者の適正な取り扱いを考察する.
方法:1995年1月-2001年9月に
川崎医科大学
産婦人科を受診したCIN症例341例 (CIN1: 187例, CIN2: 59例, CIN3: 95例) すべてに対して, 初診時に細胞診, コルポスコープ下生検とともにHPV-DNAのタイピングを行った. 組織診断確定後の患者の取り扱いは, 無治療経過観察, LEEPによる蒸散, 円錐切除, 子宮全摘のいずれかとした.
結果:HPV陽性率はCIN 1: 66%, CIN 2: 83%, CIN 3: 85%であり, CIN 2, 3がCIN 1と比較して有意に高率であった. 全341例中, 初治療として子宮全摘を受けた39例, 予後追跡が6ヵ月以内の50例を除外した252例について予後解析を行ったところ, 治療を行った症例では, 細胞診正常化率 (CIN 1: 89%, CIN 2: 93%, CIN 3: 92%), HPV消失率 (CIN 1: 68%, CIN 2: 90%, CIN 3: 78%) ともに無治療症例よりも有意に良好であった.
結論:LEEPによる蒸散, 円錐切除はCIN病巣の切除とともにHPVの消失に貢献している可能性が示唆された.
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