近時における空間的相互作用研究の進展は, Wilsonによるエントロピー最大化法を用いた重力モデルの再定式化を有力な契機にしている.しかし,「地図パターン」をめぐる問題は,未解決の一難点として現在なお残されている.本稿は,まず二重制約型のエントロピー型モデルに依拠し,滋賀県市町村間人口流動を事例として,距離パラメータを推定した.「地図パターン」の概念規定の後,この対象データに潜む「地図パターン」を抽出した.さらに,同効果のより包括的な影響を,均等・ランダム・凝集の3パターンを想定したシミュレーション・モデルによってさぐった.その結果,距離パラメータの絶対値は,ランダム型において最も小さく,次いで均等型,凝集型の順となることが判明した.最後に, Johnstonの提示したこの問題の解決策の妥当性を検討したが,結果は良好とはいえない.
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