本稿では,社会学的分析手法を用いた筆者の先行研究に依拠して,2000年代の
平和教育
について多角的に検討する。
平和教育への公的支持が平和教育
を進化・発展させ,それが平和意識を変革していく働きがあると捉える。公的指示を分析指標として,
平和教育
事象の展開についての構造的な把握を目指す。
次に,中学生に対する平和意識調査のデータを時系列と,日英独以の平和意識を国際的に比較して,平和意識への社会的規定要因を考察する。日独英以のそれぞれにおいて,継承する戦争記憶(集団的記憶)は異なる。
平和教育
への公的支持の在り様は,その国が置かれた歴史的状況と地政学的環境の影響を受けている。日独英以の各国において,公的支持の指標を用いて,
平和教育
を促進する力の程度を想定することができよう。日本の地域レベルと国内レベルで,
平和教育
へ多くの公的支持が相乗的に働いていることが動因となり,平和主義的意識が多くの中学生に育成されているのではなかろうか。
日本の中学生達の高い平和意識がこれからも存続する方向で,次世代型
平和教育
の展開方法を提示する。「戦争体験を継承する
平和教育
の類型」の分析枠組により,
平和教育
を世代ごとに類型化して,戦後から現在までの戦争体験継承方法の展開を示す。次世代型の
平和教育
は、戦争第4世代となる2006年~2035年頃生まれを対象としており、
平和教育
実践の担い手が変わり、
平和教育
の課題も変化している。
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