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クエリ検索: "広島平和構築人材育成センター"
2件中 1-2の結果を表示しています
  • 地引 英理子, 杉下 智彦
    国際保健医療
    2021年 36 巻 4 号 153-168
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

    目的

      本研究では日本人の医療及び非医療従事者が保健関連の国際機関へ就職を考慮するに当たり、いかなる勤務条件が揃えば望ましい選択肢として選択するかを「離散選択実験(Discrete Choice Experiment)」の手法を用いて明らかにするために、その第一段階として質的調査により対象者が重視する「属性(Attributes)」を分析するとともに、選択属性に合致した就職支援策を提言する。

    方法

      日本人の医師、看護職、公衆衛生大学院卒業者、非医療従事者、学生等で①保健関連の国際機関への就職を希望する人(以下、希望者グループ)、②現在就職している人(以下、現職者グループ)、③過去に就職していて離職した人(以下、離職者グループ)の合計20人を対象に、予め用意した11の属性から、国際機関勤務に当たって重視する属性を全て選び順位付けしてもらった上で、半構造化インタビュー調査を実施した。逐語録を作成し属性に関する内容を抽出後、グループ毎にコード化・カテゴリー化し、他のグループの回答と比較、分析した。

    結果

      対象者が重視する属性を点数化した結果、全グループで国際機関勤務に当たって重視する属性として「仕事の内容」、「自己実現の機会」、「能力向上の機会」が上位3位を占め、次いで「勤務地」が同率2位(現職者グループ)と4位(希望者・離職者グループ)だった。しかし、希望者・現職者グループを通じて「ワーク・ライフ・バランス」、「給与額」、「福利厚生の充実度」、「仕事の安定性(長期契約)」といった勤務条件面への重視は全11属性中5位~8位と中位から下位を占めた。また、両グループで「帰国した時の所属先の有無」は9位、「子供の教育の機会」と「配偶者の仕事の機会」は同率10位だった。離職者グループでは「ワーク・ライフ・バランス」と「仕事の安定性(長期契約)」は同率5位を占め、その他の属性は選択されなかった。

    結論

      保健関連の国際機関勤務を目指す日本人は、より良い待遇や職場・生活環境よりも、経験や専門性を活かし、能力向上や自己実現を求めて国際機関を受ける傾向があることが分かった。より多くの人材を国際機関に送り出すための支援策として、属性の選択順位に従い、第一義的には国際機関勤務のやりがいに関するキャリア・ディベロップメント・セミナーの開催が有効と考えるが、国際機関におけるワーク・ライフ・バランス、女性の働きやすさ、給与とセットにした福利厚生制度に関する広報も有効と考える。また、インタビューを通じて明らかとなった国際機関の雇用契約の不安定さと「帰国後、国際機関での経験を正当に評価し受け入れてくれる組織・病院が少ない」という課題に関して、中長期的には帰国者の受入機関の増加のための働きかけが必要と考える。

  • 地引 英理子, 杉下 智彦
    国際保健医療
    2023年 38 巻 3 号 93-107
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/12
    ジャーナル フリー

    目的

      多様な経験・専門性とグローバルな視点を持ち、グローバルなルール作りに貢献できる人材育成の必要性が高まっている。政府が掲げる目標の一つにグローバルヘルス分野の国際機関で活躍する邦人職員の増強があるが、日本人は望ましい職員数に達していない。本研究では日本人の医療従事者・非医療従事者が考える国際機関への応募または勤務に当たっての障壁・懸念事項及び政府に期待する支援策を明らかにし、課題を浮き彫りにするとともに就職支援策を検討する。

    方法

      日本人の医師、看護職、公衆衛生大学院卒業者、非医療従事者、学生等で、①グローバルヘルス分野の国際機関への就職を希望する人(希望者)、②現在就職している人(現職者)、③過去に就職し離職した人(離職者)の合計20人を対象に半構造化インタビューを行い、質的記述的に分析した。

    結果

      国際機関への応募または勤務に当たっての障壁・懸念事項として〈日本社会・日本人特有の課題〉、〈グローバルヘルスのキャリアに対する迷い〉、〈医療従事者のキャリアとグローバルヘルスのキャリアの隔たり〉、〈能力強化の必要性〉、〈国際機関の受験対策〉、〈ワークライフバランスの重視〉〈国際機関に内在する課題〉の7つのテーマ/課題が浮き彫りとなった。〈日本政府に期待する支援策〉については『個別に就職相談できる機関があるとよい』、『国際機関で生き残るための方策を教えてほしい』等の意見が聞かれた。

    結論

      以上の結果から、主に個人の能力・資質、ワークライフバランス、帰国後の受け入れ、医療従事者特有の課題が示された。対応策としては、国際機関の現役職員や元職員の知見・経験を活かした、個別のキャリア・カウンセリング、国際機関で生き残るためのノウハウを提供するセミナー、子育て世代の女性就職希望者を対象としたセミナーの実施が考えられる。また、医療従事者の海外派遣を阻む課題については、まずは日本人医療従事者の海外派遣の強化が本人の能力強化、職場環境、外国人患者の受入れ等にもたらす変化・影響を派遣前と派遣後とで比較・検証し、その結果を基に理解を求めていくことが第一歩と考える。同様の観点から、帰国後の受け入れの問題解決のために、サバティカル休暇、長期休職、復職等の諸制度の整備・導入が、特にグローバル企業や外国人患者受入れに特化した病院等に求められる。

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