濃度や質の異なった甘味溶液の好みを調べると共に, 甘味や甘い物に対する感情・認知・摂取などの質問紙調査回答との関係についても検討した.調査対象は中学生および成人の幅広い年齢層とし, 中学生および若年層では性差を含めて分析した.
(1) 全年齢層で5.0%蔗糖溶液の嗜好順位得点が最も高く, 次いて10.0%, 2.5%, 20.0%の順に好まれていたが, 好まれ方には年齢層による相違があった.
(2) 中学生は中年層前半に比較して, 高濃度蔗糖溶液(10.0%, 20.0%)における嗜好順位得点が高く, 低濃度蔗糖溶液(2.5%, 5.0%)では低かった.
(3) 低濃度蔗糖溶液(2.5%, 5.0%)の嗜好順位得点は30歳代にピークを持つ山型を示し, 高濃度蔗糖溶液(20.0%)では, 30歳代が谷型となったことから, 蔗糖溶液嗜好濃度の変化域が中年層前半に存在することが指摘された.
(4) 中学生と若年層では2.5%蔗糖溶液を, 女性が有意に好んだ.
(5) 蔗糖溶液濃度の好みには, 甘味に対する認知ではなく感情が影響していた.また蔗糖溶液濃度の好みは甘い物に対する好み, 甘い物の摂取, 好きな味付けの程度との間に関連が見られた.
(6) 糖溶液の質に対する好みと, 年齢や性との間には関連はなかったが, 好きな味付けや甘い物と自己認識の距離との間には関連が示された.
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