本研究は,美術科の題材ルーブリックを作成するパフォーマンス評価の協議会において,評価者=教師の相互作用を通して「教育的価値」に関する合意が形成されてゆくプロセスを解明したものである。その際,「教育的価値」の概念に接近するため,アメリカのマックフィー,アイスナーの論考を参照した。また,教師間の相互作用にとって決定的役割を果たす「他性」に注目し,バイテルの研究に基づきその重要性を論じた。さらに,戈木版GTAによる質的分析を行った結果,上記の過程では比較的高次の合意が形成され,批評の内的一貫性が担保される傾向にあることが明らかとなった。今後,教師の友愛的精神とデューイ的民主主義を通して「教育的価値」の生成の場が拡大されてゆくことが期待される。
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