「未来歴史学」は未来におけるテクノロジーと社会のあり方を考察する研究手法のひとつである。その中でも SF系メディア芸術作品を多様な評価軸によって分析し,そこに記されているテクノロジーと社会についての見解をアーカイブするものを示す。テクノロジーの問題をテクノロジーのみで解決することが困難な現代において,個人もリスクを背負わなければない事態が表面化してる。このような状況下で重要なものが, 社会の出来事を自分ごととして捉える「社会学的想像力」である。本稿ではまず,未来のテクノロジーのあり方に関する是非をデザインによって問うクリティカルデザインと日本における社会学的想像力=日本的想像力の分析を行う。そしてこの分析をもとに ,日本的想像力を用いたクリティカルデザインの一つの可能性である未来歴史学について述べる。未来歴史学は日本的想像力による当事者性と批評性を含んだ様々な視点から,これからのテクノロジーと社会に関する見解を生み出すことを目的としている。
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