抄録
プレイヤーはゲームプレイにおいて、NPC を友人のように思い遣ることもあれば、道具のように扱うこともある。本研究では、こうした「者」と「物」との両極の認識をプレイヤーに抱かせる NPC という存在について考えるべく、NPC に対するプレイヤーの認識を質的に詳らかにすることを試みた。実況ゲームプレイのビデオ・エスノグラフィー、および半構造化インタビューに基づいた構成主義的 GTA の結果、NPC に対する認識には〘人として〙〘キャラとして〙〘ゲームキャラクターとして〙〘システムとして〙の4 つの様態があることが明らかになった。本稿では、これら4 つの認識様態それぞれについて考察することを以てその関連性を紐解き、NPC に対する認識の全体構造を描き出した。