近年,不採算バス路線の廃止が相次ぎ,高齢者のモビリティの低下に歯止めがかからない.そこで
秋田県
秋田市では,高齢者の外出促進,社会参加の支援を目的として,2011(平成23)年10月1日よりバスを100円で利用できる「高齢者コインバス事業」を導入した.本研究では,より効果が大きいと考えられる秋田市中心部から離れた郊外部の河辺地区を対象にバス利用者へのアンケートおよびインタビュー調査を行った.そこからバス運賃の低廉化による交通行動の変化の把握や,行動が多様化したこととQOLおよびCapabilityへの関連性を確認し,社会政策としての事業の有用性を評価した.分析から,高齢者のバスによる外出回数が増加し,行動範囲の広がりもみられた.交通行動の変化に伴いQOLやCapabilityも向上しており,本事業は郊外部で有用なものであると考えられた.
抄録全体を表示