土木学会論文集D3(土木計画学)
Online ISSN : 2185-6540
ISSN-L : 2185-6540
土木計画学研究・論文集 第31巻(特集)
バス運賃の低廉化による高齢者の行動の多様化とQOLへの効果
安藤 晃太木村 一裕鈴木 雄日野 智
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 70 巻 5 号 p. I_579-I_587

詳細
抄録
近年,不採算バス路線の廃止が相次ぎ,高齢者のモビリティの低下に歯止めがかからない.そこで秋田県秋田市では,高齢者の外出促進,社会参加の支援を目的として,2011(平成23)年10月1日よりバスを100円で利用できる「高齢者コインバス事業」を導入した.本研究では,より効果が大きいと考えられる秋田市中心部から離れた郊外部の河辺地区を対象にバス利用者へのアンケートおよびインタビュー調査を行った.そこからバス運賃の低廉化による交通行動の変化の把握や,行動が多様化したこととQOLおよびCapabilityへの関連性を確認し,社会政策としての事業の有用性を評価した.分析から,高齢者のバスによる外出回数が増加し,行動範囲の広がりもみられた.交通行動の変化に伴いQOLやCapabilityも向上しており,本事業は郊外部で有用なものであると考えられた.
著者関連情報
© 2014 公益社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top