新しく開発されたカルバペネム系抗生剤meropenem (MEPM) を外科感染症に対し使用し, 臨床的検討を行い, 同時に胆汁中移行を胆汁中胆汁酸代謝と共に腎機能や肝機能と併せ検討し, 胆道感染症治療における有効性について検討した。外科的感染症症例は, 胆道感染症の中でも重症な胆管炎8例, 胆嚢炎・胆嚢周囲膿瘍1例, 横隔膜下膿瘍1例, 腹腔内遺残膿瘍1例 (慢性透析患者), 骨盤内膿瘍1例, 手術創感染2例, 乳癌の骨転移・肺転移に合併した肺炎1例, 直腸癌術後の神経性膀胱に合併した尿路感染症1例の計16例であった。
胆汁中移行に関しては, 総胆管結石症でTチューブ挿入中の患者3例と悪性閉塞性黄疸3例 (肝門部胆管癌2例, 膵癌1例) で術後胆管内挿入sprint tubeを通じて胆汁を採取し検討した。6例の患者に合計8回の検討を行った。MEPMを500mg, 30分で点滴静注し, 血中濃度, 胆汁中濃度, および胆汁中胆汁酸を高速液体クロマトグラフィーにて測定した。血中濃度のピーク値は点滴終了直後に観察され, 平均20.0±5.4μg/ml (最高30.3μg/ml, 最低15.5μg/m) であった。胆汁中濃度のピーク値は3時間後より5時間後までに観察され, 平均4.0±3.7μg/ml (最高9.78μg/ml, 最低0.14μg/ml) で, MEPMは胆道感染症の治療に充分な濃度で胆汁中に移行した。MEPMの胆汁中移行は胆汁中胆汁酸濃度との関連は認められず, 腎機能の悪い, 血清ビリルビン濃度の低い症例が, 胆汁中移行良好例であった。
外科的感染症16例にMEPMを用い加療したが, いずれも著効で, 副作用はなく, 有用な抗生剤と考えられた。
慢性血液透析を受けている症例で8日間連続, 500mg/day投与例の8日目に, 血中濃度を測定した。その血中濃度は正常腎機能者よりも少々高値を示したが, 副作用は全く認められなかった。
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