本研究は,福岡市都市サインに関して利用者,市民,市職員を対象にアンケート調査を行ない,設計時の意図をふりかえりながら,その達成程度や反応を検討したものである。複雑化し住民の移動も激しい現代の都市にとって,街を快適に案内するサインの整備は,重要な課題のひとつである。福岡市都市サインの設計にあたっては,人間の視覚に適合した形態の提案,耐久性の向上,案内に適した地図の開発など,いくつかの新しい試みを行なった。その後の利用実態を確認して今後の設計に生かすために,設置後7年を経た1994年に追跡調査を行なった。その結果,耐久性に優れ,市民にもよく利用されていることが確認された。また,造形のイメージに関しても,親しみやすく福岡市にふさわしいなど,設計意図通りの回答が得られた。都市サインが有効に活用されていることがわかり,表現が適切だったことを確認できたが,情報量や文字の大きさなど,一部問題が残った要素については今後検討が必要である。本調査結果は,今後のサイン計画の進展のために有用な資料となった。
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