企業のCSR への関心が高まりつつある中,企業がNGO をパートナーとして活動する事例が見られるようになった.企業とNGO は,対話を通して互いの理解を深め,国際協力活動の分野で活動を行っている.本研究は,こうした日本国内に拠点を持つ企業とNGO が実践しているパートナーシップを類型化し,その課題と展望について検証・考察を行うものである.事例分析より企業とNGO のパートナーシップの形態は,寄付型,支援型,協働型に分類され,近年では寄付型のパートナーシップの割合が減少し,支援型や協働型の割合が増加傾向にあることが明らかになった.特に企業とNGO の専門性を合わせて立案される協働型は企業の途上国の活動現場への貢献度も高く,国内外に対する企業の知名度向上にも繋がる活動である.こうした企業とのパートナーシップによりNGO は活動を充実・拡大させることが可能であり,今後も,パートナーシップの多様化により企業とNGO による国際協力の活動範囲が広がり,新しい取り組みへ繋がることも考えられる.
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