先進工業国において,可燃性液体や放射性物質などの危険物の日常的な輸送は欠かせない.一方,これらの危険物が(交通事故などによって)輸送中に流出した場合,周辺の住民 · 環境 · 経済に甚大な損害を及ぼす.本研究では,こうした流出事故が持つ“低頻度 · 大損害”特性を考慮しつつ,そのリスクを最小限に抑える輸送計画問題に対する定量的分析手法を開発する.具体的には,まず,輸送起終点間の各経路への最適な輸送配分比率を決定する問題を,maximin問題として定式化する.そして,この問題が,交通計画分野で知られるlogit型の確率的均衡交通配分と類似した数理構造を持つ凸計画問題に帰着することを明らかにする.これを活用して,現実的な規模の一般ネットワークに対しても,効率的に最適な輸送戦略を評価できる数値計算法を開発する.
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