第1報に基づき, 家事サービス利用の抑制要因と考えられる保守性に着目し, それを具体的な生活意識としてとらえて分析軸とすることにより, 家事サービスの利用傾向に関する分析を行った.
得られた結果は次のとおりである. (1) 手づくり肯定派は, 従来家庭で手づくりされるのがあたりまえとされるものについて継承志向がみられ, 一方, 手づくり否定派では冷凍食品のような新たな加工形態の食品において利用が促進される傾向が認められる.
(2) 本人および夫の性別分業観にかかわる保守性が, サービス利用を抑制する要因として働くことが確認されたが, いずれも食生活関連サービスにおいてその傾向が顕著である.
(3) 余暇に関する意識とサービス利用とのかかわりは希薄であり, 今後主婦の生活行動のなかに余暇行動がより明確に位置づけられるとともに変化していくことが予想される.
(4) 家事技術の自己評価では, とくに炊事技術の評価が高いほど食生活関連サービスの利用が抑制される.
(5) 今後の利用意向では, 手づくり意識に関連した健康・安全志向としての消費者意識の高さおよび家事技術への自信が利用抑制要因として働くことが確認された.以上, 家事サービスの利用抑制要因としての保守性にかかわる意識として, 手づくり意識本人および夫の性別分業観家事技術 (とくに炊事) の自己評価の存在を確認することができ, とりわけ一部食品関連サービスにおいてそれらの関係を鮮明にとらえることができた.
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