わが国のパルプで最も生産量の多いKPは,漂白されている割合が87%(2011年)になっており,漂白抜きにKPを語ることはできない。しかも,ほとんどのパルプが漂白工程に導入される前に酸素漂白(酸素脱リグニン)が行われ,蒸解後のパルプに残留するリグニンの約半量が除去される。その後,酸化分解とアルカリ抽出を数回繰り返す多段漂白によって,目標白色度を得る方法が採用されている。
酸素漂白工程では,高濃度から中濃度へ,さらに多段化へと変化し,一方,多段漂白では,低濃度(3%程度)・多段シーケンス(6~8段)から中濃度(10~15%)・短いシーケンス(3~4段)に,また漂白薬品も塩素主体から塩素を用いないECF漂白に変化して行った。
ここでは,これらの変遷を,設備,操業,漂白薬品(二酸化塩素,オゾン,過酸化水素,アルカリ)と化学の面から,トピックス(ECF漂白に変更してからの退色問題,アルカリ抽出段での強化の有効性)などを含めて紹介する。
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