ラット肝臓から精製したアデニレートキナーゼ(AK)の分子量は, Weber and Osbornの連続緩衝液系を用いたSDS電気泳動法により26,000, Laemmliの不連続緩衝液系を用いたSDS電気泳動法により29,700, 沈降平衡法により24,900, セファデックスG-100ゲル濾過法により32,500であった. 等電点電気泳動法においては多様性を示し, 脱アミドに起因することが示唆された. また, 酵素の立体構造の維持に関与する-S-S-結合1個と, 酵素活性には関与しない-SH基2個が存在した. 抗ラット肝臓AK抗体は酵母AKと反応したが, 抗ラット筋肉AK抗体は酵母AKと反応しなかった. 一方, 抗酵母AK抗体はラット肝臓AKと反応したが, ラット筋肉AKとは反応しなかった. これらの結果から, ラット肝臓AKおよび酵母AKは, 構造的に類似すると考えられた.
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