近年、放射線治療における過剰照射や過少照射など誤照射事故が相次いで明らかとなり、マスメディアに取り上げられるなど社会的な問題へと発展し国民の放射線治療に対する信頼が損なわれようとしている。放射線治療施設ではこうした事故を起こさないために、放射線治療の品質保証(QualityAssurance 以下、QA)・品質管理(QualityControl 以下、QC)システムを構築し適正な照射を行うことが求められている。 放射線治療のQA・QC の重要な項目として、治療に利用する放射線の投与線量の評価が上げられる。当院では始業前点検として簡易測定器である半導体検出器を用い、X 線および電子線の投与線量の測定を行っている。 新病院の開院から約2 年半の期間、半導体検出器による投与線量の測定データと精密な測定である電離箱線量計の測定データをグラフ化しデータの比較を行った結果、X 線に関しては、同程度なデータが得られ、線量評価の始業前点検に使用するのに有効であるが、電子線に関しては、モニター線量計として用いるには安定性が不足しており、治療開始前の電離箱線量計による測定が不可欠であることがわかった。
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