陶器様胆嚢に合併した多発性胆嚢癌の1例を経験した.症例は62歳,女性.右季肋部痛を主訴に来院し,同部位に圧痛を認めた.血液生化学検査ではCA19-9が120U/mlと高値であった.腹部超音波検査, CT検査, DIC検査で陶器様胆嚢,および,胆石,腫瘍性病変の合併と診断され,胆嚢摘出術,総胆管切除, 2群リンパ節郭清を施行した.摘出した胆嚢は大きさ17×8cmで,胆嚢壁は体部から底部にかけて硬く肥厚しており,頸部に1.5cmの結石が陥頓していた.底部に1.7×0.9cmの結節型隆起,胆嚢管に0.5×0.5cmの乳頭型隆起を認め,いずれも深達度mの高分化型腺癌であった.胆嚢壁は黄色調の肉芽組織であり,石灰化がみられた.
陶器様胆嚢は, 1%前後の頻度で発見されるが,その10~20%に胆嚢癌を合併するので,症状の有無にかかわらず,外科的切除が望ましいと考えられる.陶器様胆嚢に合併した多発性胆嚢癌は,本邦では自験例が初例であり,貴重な症例と考え報告した.
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