起立・着座介助でとることの多い両足を前後にずらした立位での足向角と, 姿勢の安定性の関連を明らかにすることを目的とした. 対象は, 健常成人で, 女性28名, 男性6名, 平均年齢29.3歳であった. 足向角0度, 45度, 90度 (直角立ち) の足配置を決定し, それらの支持基底面積を測定した. さらに, 支持基底面積が0度と同等で足向角90度の足配置 (三角立ち) を決定した. 4種類の足配置の姿勢安定度評価指標 (IPS) と主観的安定度を測定した. その結果, 支持基底面積は足向角45度, 直角立ち, 0度と同等の三角立ちの順で大きかったが, IPSは, 三角立ち, 直角立ち, 45度, 0度の順で高かった. 主観的安定度は, 三角立ち, 45度, 直角立ち, 0度の順で高かった. 以上より, 両足を前後にずらした立位において足向角0度, 45度, 90度のなかで, 客観的に姿勢の安定性が高いのは足向角90度の足配置であることを明らかにした. さらに, 姿勢の安定性を高める足配置として, 支持基底面積以外に足向角が一つの要因となることが示唆された.
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