N-アクリロィルピロリジンを基体とした不溶性高分子は,水中において低温で膨潤し,高温で収縮する可逆的熱応答性(感温性)を示した。この膨潤容積変化は,橋かけ度,疎水性モノマー含量の増加にともない小さくなった。安息香酸の吸着は,温度の上昇,疎水性モノマー含量の増加にともない増加したが,膨潤にともなうとり込み効果は作用しておらず,橋かけ度による影響はほとんどなかった。樹脂の親疎水性のバランスを制御するどとにより,安息香酸の吸脱着が温度変化させることで可能となった。また,吸着される基質が未解離状態においてのみ吸着が行われた。中性,塩基性物質においても酸性物質よりは低いが疎水性の強い未解離状態において相互作用が生じた。ジオキサンまたはエチレングリコールの添加により吸着は低下したことから,吸着がおもに疎水性相互作用に基づいていると考えられる。
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