ゲルマニウムは4-ニトロカテコール錯体として存在するとき,2,2'-ビピリジル-鉄(II)陽イオンとともに1,2-ジクロルエタンに抽出され,526mμに吸収極大を示す.4-ニトロカテコールはモル比でゲルマニウムの26倍以上,2,2-ビピリジル-鉄(II)陽イオンは4倍以上存在すればよく,水相のpHが3.0~4.5の範囲で一定最大の抽出を示し,その抽出率はおおよそ95%である.4-ニトロカテコールおよび2,2'-ビピリジル-鉄(II)陽イオン濃度がそれぞれ4.80×10
-4Mおよび2.96×10
-4Mのとき,ゲルマニウム濃度3.83×10
-6~1.34×10
-5Mの範囲でベール則に従う.
この方法により50倍のヒ素からゲルマニウムを抽出分離することができる.また,150倍のEDTAを共存させると,40倍の鉄(III),50倍のアルミニウムおよびカドミウム,70倍の鉛,90倍の亜鉛,150倍のマグネシウムおよびカルシウムなどが共存しても妨害しない.
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