ヒト末梢血有核細胞からDNAを抽出し, 多型性をコードするHLA-DRB遺伝子の第2エクソン部分を特異的なプライマーを用いてPCR法にて増幅した. これをナイロン膜に結合し, 配列特異的なジゴキシゲニン標識DNAプローブと反応させ, 基質を発色させるという非アイソトープ法にてHLA-DR型を同定した. これらの特異性を抗血清法のデータと比較検討した. 健康人136名の結果からDRI, DR2, DR4, DR7, DR9, DRw10, DRw53では2法ともほぼ一致していた. DRw8, DRw11, DRw12, DRw13, DRw14, DRw52ではDNA法では適切にタイプされていたが, 血清法では多数の誤りやブランクが認められた. DNA法ではこれらDRのブランクを解消したのと同時に, 抗血清法では得られないD特異性まで決定することができた. このことからDNAタイピングはHLA-D/DR抗原の同定に有効な手段であると考えられる.
抄録全体を表示