本研究の目的は，Digital light processing（DLP）で作業用

を製作する際，の構造が製作時の精度に与える影響を明らかにすることである． 顎堤上に５つの球を配置した上顎無歯顎ののデータを作成し，基準のデータとした．基準のデータから，全顎ののデータ，片顎ののデータを作成した．全顎ののデータは，厚さ３mm の中空型，厚さ５mm の中空型，および充実型の３種類を作成し，片顎のデータは厚さ３mm の中空型のみ作成した．DLP 方式の3D プリンタを使用して，作成したを製作し，上の球の中心点間距離を計測することにより，製作時の誤差を評価した．

中空型

は，充実型と比較して統計学的有意に大きな誤差を示した．充実型は製作時の誤差が最も小さかった（p ＜0.05，Kruskal-Wallis 検定）．また，全顎を比較すると，全顎の誤差が有意に大きかった（p ＜0.05，Mann-Whitney の検定）． 本研究の結果から，の構造が製作時の精度に影響を与えていることが示唆された．

抄録全体を表示

近年の地震災害の増加による建物の安全への関心の高まりを受け，社会人向けに1/10

で雪・地震に強い建築を学ぶ生涯学習の講座を実施した．1/10の活用は，建物全体架構の視覚的把握と各部材の組み立てを通し，耐震構造の仕組みや伝統的な施工方法，地震時の揺れ方などの体験的な理解につながり，計画と環境も併せて深めることができた．本研究では本講座実践とその効果についての考察を行った．講座後の感想から，自宅の耐震対策への関心と学習意欲の向上が確認された．

抄録全体を表示

の表面精度を検討する一方法として,の引っかき硬さ（引っかき深さ）に注目し，測定条件による影響を検討した．アルジネート印象材およびゴム質印象材，硬質石こうおよび超硬質石こうを使用してを作製し，引っかき荷重，引っかき速度および印象から取り外した後のの引っかき硬さに及ぼす影響を調べた．

抄録全体を表示

本研究では，3Dプリンターから製作した

ブイを用いて，造波水槽より小型波浪観測ブイの動揺特性を評価した．ブイにはIMU及びマーカーを取り付け，加速度計測及び画像解析から，波高，周期，ブイの揺れを求めた．その結果，ブイのサイズを大きくするとブイの揺れが小さくなることがわかった．またサイズが小さいブイでも縁形状を用いることで波の追従性向上を示した．

また

ブイに搭載したIMUのデータから，IMUの計測特性を評価した．その結果，周期は正確に計測でき，波高も波形勾配が0.01～0.025の間では正確に計測ができるが，それ以外の波形勾配では，わずかに誤差が生じることがわかった．

抄録全体を表示

原子核のクラスターは, はじめは殻を補完するものとして, 最近では広い質量数及びエネルギー領域に適用しうるものとして用いられ, 軽い核の構造とその動的性質を記述するに不可欠なの一つとなっている. クラスターは"原子核内で核子が局所的に強く相関しあう部分的小集団"であるクラスターを単位とし, そのクラスターの集合体で取扱うである. それ故クラスター相関が強く現れる際には, クラスター間相対運動が原子核の運動様式の基本となるとする立場のである. この意味で, 殻とは立脚点が質的に異なるである. この解説は, 原子核の分子的 (クラスター) 構造の我国を中心とする研究について概説し, 近年活発となって来ている周辺研究分野との結びつきについて紹介するものである.

抄録全体を表示

博物館ではレプリカ資料など実物ではないを展示することが多い。立体的なを作る場合、3Dプリンタを利用することにより、3Dデータから製作でき、複製も容易である。音声言語関連の展示を行う場合の音声発話に関連する器官のを製作事例について、その製作方法と展示製作における３Dプリンタの有用性について述べる。

抄録全体を表示

統計力学における厳密解のもつ物理的意義, およびその数学的意味を論じ, Ising , Heisenberg , Slater, およびその周辺について厳密解の得られている問題の概観を与える。

抄録全体を表示

従来、等高線の判読による地形学習の難しさが指摘されてきた。そこで、効率的な地形判読のために、GISを用いた2Dもしくは3Dの地形の可視化や、アナグリフ等の手法が活用されている。さらに、等高線に沿って切り抜いた厚紙等を積み重ねて地形を再現した地形

も、古くから地理教育に活用されてきた。この種の地形は、比較的低予算で自作ができ、特殊な器具を必要とせず、誰もが直感的に地形を理解できるといった利点がある。しかし、精巧なの作成には長時間の作業を要し、高精細な地形情報がないと対象の地形が詳しく再現できない等の課題もあった。

最近、3Dプリンタの低価格化により、精巧な

をデジタルデータから比較的容易に造形できるようになった。地形の元となる高精細な標高データも、UAVs（Unmanned Aerial Vehicles）等によって取得しやすくなった。そこで演者らは、高精細な標高データや基盤地図情報を用いて地形の3Dプリントを試みた。また、小中高生、大学生、一般市民向けに地形を活用した授業や展示を実践し、の教育的活用の手法と教育効果を検討した。

本研究では最初に、地形

の3Dプリントを最適化する方法を明らかにするために、地域、起伏、スケール、データ取得法などが異なる複数のの3Dプリントを行った。この際には熱溶解積層法の3Dプリンタと、単色のABS樹脂を使用した。3Dプリントは積層の厚みによっての精巧さが変わるため、全ての事例について積層の厚さを0.3 mmに統一した。

3Dプリントには、元データの適切な利用や、安定した造形のための技能が必要となる。地形

の3Dプリントでは、上記に加えて対象とする地形の特徴も考慮すべきである。たとえば、起伏が小さい地形をそのままにすると、凹凸が把握しにくくなる。そのため、起伏の明瞭な範囲のみを拡大したモデルの生成や、高さの誇張といった処理が必要となることがある。また、を出力する方向で積層数に違いが生じ、表面が異なる形状となる点にも注意が必要である。の地形を水平方向に出力する造形では、積層される上の層とその下の層の水平方向の範囲の差が、表面形状に強く影響する。小起伏の平野部では、上記の差が大きくなってしまい、地形の表現に向かない。一方、山地部では上記の差が小さく、各層が階段のような適度な間隔となり、地形の適切な造形になる。一方、地形を垂直方向に出力すると、前者よりも全体の積層数が多くなるため、平野部を含めての表面を滑らかに造形できる場合が多いが、前記した厚紙等を用いた古典的な地形の特徴は再現されないなど、不自然に見える面もある。以上のように、地形の3Dプリントには考慮すべき点が多いため、事前に地形の見せ方や解説する点を明確にした上で実行することが望ましい。

次に演者らは、地形

の効果的な活用手法を検討するための授業の実践や、地形を展示するイベントを行った。これらの事例では、高精細な地形情報に基づく地形が、対象者の関心を得やすい傾向があった。一方で、高精細なデータを用いると対象範囲が狭くなるために、周辺の地形を含めた地形の成り立ちや、地形の特徴を解説しづらいといった課題もあった。したがって、周囲を含む広範囲のも基盤地図情報等を用いて作成し、両者を共に利用することが有効と考えられる。

演者らは、地形

の教育効果を検証するために、高校生と大学生を対象としたテストを行った。テストの際には、地形とともにGISを用いて地形を表現した図も複数用意し、効果を比較した。具体的には、地理院タイル（標準地図）に陰影図を重ねた図、CS立体図、TPI（Topographic Position Index）と傾斜値によって尾根線を強調し陰影を加えた図（尾根線強調図）を用意した。テストは5問あり、各図とを用いて地形を読み取って標高や傾斜の違いを答えたり、特定の地形の範囲を地図に示したりした。

地形

の利用者の正答率は、地形の起伏の大小と関連していた。地形は、山地の標高の変化や傾斜の緩急の違いの把握に適する傾向があった。一方で、小起伏の地形をで判読した際の正答率は低かった。具体的には、扇状地が複合的に発達する地域や、複数の前方後円墳が点在する地域のから、特定の範囲を判読する問である。小起伏の地形の判読には、CS立体図や尾根線強調図のような起伏を強調した図の方が有効であった。上記のようなテストの結果には、地形やに関する多様な要素が影響すると考えられる。今後は、地形の抽出範囲と起伏との対応の定量化や、表面にテクスチャを重ねられるフルカラーの3Dプリントも利用し、地形の教育に適した地形の検討を進める予定である。

抄録全体を表示

核子間の相互作用や軽い原子核の電磁気的性質に関して, クォークによる研究が最近活発に行われている. 本稿では主にクォーク・クラスターによる研究を紹介する.

抄録全体を表示

素粒子標準ではレプトン数は世代ごとに保存し, このことはレプトンフレーバの保存と言われる. しかし, 標準を越える物理を考慮に入れると, その保存則が破れていても不思議ではない. この解説では, 今日標準においてレプトンフレーバーの保存の破れが自然に導入され, レプトンフレーバーの保存の破れを伴う事象であるμ⁺→e⁺γ等が将来の実験で観測される可能性があることを述べる.

抄録全体を表示

素粒子の強い相互作用の理論的実験的進歩の中で, 強い相互作用とそれに関与する素粒子の存在様式が, dualityの概念の発見とともに見通しの良いものとなった. このような情況において提出されたVenezianoであり, 非常に簡単な表示であり, またその後の理論的発展を導いた著しいといえよう. 本解説ではVenezianoの背景である強い相互作用のいくつかの特徴とdualityの概念について説明し, さらにVenezianoの内容とその後の発展について述べる.

抄録全体を表示