平嶋美咲・立花敏:森林セラピーロードの利用実態と地域社会への貢献-長野県南箕輪村を事例として-,森林計画誌54:83~92,2021 森林セラピー®基地・ロードは中山間地域に多く,過疎化や少子高齢化が進む地域も少なくない。本研究では,森林セラピーロードの利用実態を明らかにし,森林セラピーロードの認定が地域社会にどう貢献するかを考察することを目的とした。研究対象地は森林セラピーロードの認定を受けた信州大芝高原みんなの森を有し,長野県内の市町村で最も高い人口増加率が認められる南箕輪村であり,研究方法には南箕輪村人口に関するコウホート分析,対象地の関係者に対する聞き取り調査,セラピーロード利用者へのアンケート調査を用いた。その結果,南箕輪村のセラピーロードでは,健康増進を目的として近隣の地域住民の利用が大半を占め,週に1回以上の定期的かつ継続的な利用が主となっていること,利用により心身の変化をプラスに感じる人が多いことが明らかとなった。また,定期的かつ継続的な利用を行うことにより,医療費の削減につながる可能性を考察した。そして,今後はセラピーロードがどのような森林にあるのが望ましく,どの程度の入り込みがセラピーロードの趣旨からも利用者の満足度からも適当かの検討や,複合的な利用を視野に入れた観光客誘致が必要なことを指摘した。
トンネル掘削時に実施する変位計測は,切羽近傍地山の評価や予測,支保の選定とその妥当性を検証する際に有益な情報を提供する.事前の地質調査に限界のある大土被りトンネルにおいては,内空変位計測データが持つ特性を最大限有効活用することが望ましい.計測データの活用方法の一つに,掘削時の初期変位と最終変位の相関性を把握し,切羽開放後の初期段階で最終変位を予測することがある.本論文では,計測データと実際のトンネル支保の挙動分析を行い,初期変位計測の意義を明らかにするとともに,硬質層状の堆積岩地山での掘削を対象に,最終変位量を施工管理基準値とするための新たな提案を行った.この分析的アプローチを南アルプストンネルの施工に適用することで,その妥当性を実証した.
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