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クエリ検索: "櫻井裕太"
3件中 1-3の結果を表示しています
  • *櫻井 裕太, *岡松 -小倉 優子, *小林 万里, *斉藤 昌之, *木村 和弘, *角川 雅俊, *白木 雪乃, *高井 秀徳
    霊長類研究 Supplement
    2013年 29 巻 P-177
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/14
    会議録・要旨集 フリー
     アザラシの寒冷環境における体温保持には皮下脂肪による熱放散の抑制が有効であるとされており,成獣は 4cm以上の厚い皮下脂肪を蓄積する.しかし,ゴマフアザラシ ( Phoca largha: 以下,本種 ) の新生児 は,流氷上へ産み落とされるため出生に伴い 40度弱の寒冷曝露を受けるが,皮下脂肪は 1cm未満と薄い.そのため,十分な断熱効果を得られていないと考えられ,発熱により体温を保持している可能性が推察された.そこで本研究では,寒冷環境で発熱を行うのに有効である,褐色脂肪組織 (BAT) に注目し,本種における BATの存在を明らかにすることを目的とした.さらに,他の大型哺乳類のBATは成長に伴い退縮していくことから,本種の成長に伴う BATの有無の変化を知ることにより,成長に伴う体温保持機構を考察した.本種の新生児,幼獣,成獣それぞれ 3頭を解剖した結果,頸部,腋下,肩甲骨間,心臓周囲,腎周囲,鼠径部には,皮下脂肪よりも褐色の脂肪組織が存在した.これらの組織において,HE染色,ウェスタンブロット法による Uncoupling protein 1 (UCP1) タンパク質の検出及び UCP1mRNAの検出を行った.HE染色の結果,全ての個体の全ての部位で BATの特徴である多房性の細胞が存在したが,腎周囲及び鼠径部は,他の組織に比べて脂肪滴が肥大していた.さらに,新生児の頸部,腋下,肩甲骨間,心臓周囲のみで UCP1タンパク質が検出されたが,幼獣及び成獣はどの部位からも UCP1タンパク質は検出されなかった.これらのことから,本種の新生児にはBATが存在し,BATの発熱により出生に伴う寒冷曝露から体温を保持している可能性が示唆された.さらに,新生児以外の個体では UCP1タンパク質が検出されていないことから,成長に伴い体温保持機構を発熱から熱放散の抑制に変化させていると推測された.
  • *加藤 美緒, *伊東 幸, *森 寛泰, *小林 万里, *片貝 耕輔, *櫻井 裕太, *増渕 隆仁, *石井 紀之, *木内 政寛
    霊長類研究 Supplement
    2013年 29 巻 P-95
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/02/14
    会議録・要旨集 フリー
     北海道日本海側に来遊するゴマフアザラシは,近年来遊域を南下・拡大させ,来遊個体数も急増している.本種は海氷地帯で繁殖を行うため,これまで海氷が来襲しない日本海側には亜成獣のみが来遊してくると考えられていたが,近年多くの成獣や陸上での出産も確認され,日本海側における本種の生態変化が確認されている.これまでの我々の研究から,北海道日本海側におけるゴマフアザラシの行動は 5つのパターンに分類された. ①抜海から約 25km圏内を移動, ②利尻・礼文島にも上陸し,抜海から約 80km圏内を移動, ③天売や焼尻にも上陸し,留萌周辺まで約 150km圏内を南下,.抜海以外上陸せず,石狩・積丹周辺まで約 250km圏内を南下,.沿海州や西サハリンに上陸し,抜海より約 500km圏内まで北上するパターンが確認されている.しかし,各行動パターンの利用水深や上陸場所からの移動距離などの 3次元の移動は明らかにされていない.そこで本研究では,行動パターンの異なるゴマフアザラシの 3次元の移動を把握し,北海道日本海側における本種の 3次元的な利用範囲を明らかにすることを目的とした.
     2009~ 2013年に抜海で捕獲され,衛星発信器を装着した 25個体から位置情報等を得た.その情報から冬~春における各個体の行動圏を算出し,上陸場からの移動距離や利用水深,上陸頻度について分析し,各行動パターンの 3次元的な移動の特徴を把握した.その結果,大半の個体が抜海を主な上陸場としながら北海道日本海側を広範囲に渡って利用していた.また,水深約 100m以浅を利用している個体が多く,上陸場からの距離と利用水深には反比例の関係が見られ,上陸時間と上陸頻度には反比例の関係が見られた.これらの行動パターンに雌雄・年齢による違いは認められず,個体数増加による日本海側の過密化によって行動パターンも多様化してきた可能性が考えられた.
  • 佐々木 理紗, 櫻井 裕太, 小林 万里
    哺乳類科学
    2014年 54 巻 1 号 1-9
    発行日: 2014/06/30
    公開日: 2014/06/30
    ジャーナル フリー
    ゴマフアザラシ(Phoca largha)の胎仔19頭を使用し,胎仔成長における形質の発現を調べた.本種には着床遅延があることが知られており,着床日に関する報告がほとんど無いことから,着床日を推定し,着床遅延の意義について考察した.本研究では便宜的に1月1日を1とした日数を死亡日とした.250日以降の死亡個体で爪が,262日以降の個体でヒゲが確認でき,358日以降の個体で毛を確認できた.爪やヒゲが早期に形成され,毛が遅れて形成される傾向は,他のアザラシで報告されている結果と同様であった.また,毛が確認できた358日以降の個体からは歯の萠出及び目が開いていることも確認された.出生時期までに,毛や歯の萌出が完了し,目が開いていることは早成性の特徴と一致した.さらに,体長と各部位の相対成長を調べたところ,25部位中11部位が優成長となり,前肢及び後肢の相対成長係数が高い値を示したのは,本種の出生2–3週間後の早期に遊泳を開始するためと考えられた.推定平均着床日は218日(8月7日)で,その95%信頼区間は7月23日から8月21日であった.
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