酸性化多孔質ケイ酸カルシウム
水和物
(APS)の苗箱施用が,水稲苗の生育,養分吸収に及ぼす影響について検討するために水稲品種ひとめぼれを用いて育苗試験を行った.1)酸性化多孔質ケイ酸カルシウム
水和物
の苗箱施用によって,水稲苗の地上部の乾物重の増加,充実度の向上,葉身の直立が認められた.水稲苗の地上部カルシウムおよび硫黄含量は,酸性化多孔質ケイ酸カルシウム
水和物
の施用により高くなった.また,地上部ケイ酸含量は,酸性化多孔質ケイ酸カルシウム
水和物
の施用量に応じて高くなり,育苗培土と酸性化多孔質ケイ酸カルシウム
水和物
を3:1の割合で混合した区で,シリカゲルの標準施用量(200g/箱)と同程度となった.2)各種水稲苗に対する酸性化多孔質ケイ酸カルシウム
水和物
の施用は,地上部乾物重,苗の充実度を増加させることが明らかとなった.水稲苗のケイ酸含量は,酸性化多孔質ケイ酸カルシウム
水和物
の施用により,乳苗で16%,稚苗で60%,中苗で42%,成苗で55%程度増加した.育苗培土と酸性化多孔質ケイ酸カルシウム
水和物
を3:1で混合した区のケイ酸含量は乳苗を除いてはシリカゲルを箱当り200g施用した区と同程度であった.以上から,酸性化多孔質ケイ酸カルシウム
水和物
の苗箱施用は水稲苗の苗質,ケイ酸栄養の向上に極めて有効であり,その効果は酸性化多孔質ケイ酸カルシウム
水和物
と育苗培土を3:1の割合で混合したときシリカゲルの標準施用量(200g/箱)に相当することが明らかとなった.
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