近年, 画像認識技術やハードウェアの進歩に伴い, 赤外線 CCD/CMOS カメラによって得られた眼球運動の画像をコンピュータで画像解析をするビデオ眼振検査 (videooculography: VOG) が普及してきた. VOG における画像解析の原理は, 眼球運動の水平・垂直成分は画像を二値化して瞳孔を抽出し, 瞳孔中心座標から求め, 回旋成分は虹彩の輝度のコントラストプロファイルから求める方法が主流である. われわれは, 眼球認識の自動化や処理速度の向上などプログラムを進化させ, 検査中のリアルタイム三次元眼振図表示を可能にした製品を開発した. 医療機器として研究用途のみではなく, 臨床用途にも使用しやすくなった.
リアルタイム VOG では, 検者自身が眼球運動動画と眼振図の両者を確認しながら検査を行うことができるため, 検査中に手応えを持って所見を把握することができる. 眼振の回旋成分について, 慣れないと方向を判定しにくいことがあるが, 眼振波形を確認することで回旋の方向を正確に把握しやすい. 数秒前にどんな眼振だったか, 動画の観察のみではあいまいになることがあるが, 眼振図により眼振の強さの変化や方向の変化などを確認することができる.
そのほか, コンピュータ解析の特性を生かし, 定量的評価として眼振緩徐相速度の計測や, 頻度, 振幅を計測し, 眼振の特徴を数値化することができる. 検査中には判断が困難な場合でも, あとで見直す際, 動画と眼振図の両者を確認して評価することができる. 赤外線フレンツェルに加速度センサー・角速度センサーを備えることにより, 頭位を感知し眼球動画と同期して記録することができる. 出現した眼振の頭位や潜時を正確に確認することができる.
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