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クエリ検索: "池田学園池田中学・高等学校"
7件中 1-7の結果を表示しています
  • ★日本地質学会ジュニアセッション優秀賞★
    *学校法人池田学園 池田中学・高等学校
    日本地質学会学術大会講演要旨
    2023年 2023 巻 J1-P-12
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/10
    会議録・要旨集 フリー

    研究者氏名:(地質気象班)松ヶ角優花,長瀬楽々,近森たお,角倉暖野,井上結友,吉井 由,鎌田美舞菜,陳 敏儀,河元千代乃,黒瀬こころ,土門里桜,上本竜也,川田代航汰 我々は火山ガスの組成比や噴気温度を観測し,測定法の確立や他火山との比較を行い噴火の前兆を捉えたいと考えた。そこで研究フィールドに指宿火山群(湯峰権現噴気帯・スメ谷噴気帯・鰻池スメ広場噴気帯)(図1)を選び,観測を行った。 時間分解能の高い噴気温度を観測するため,市販の室温記録計の温度センサーを取り外してガラス管で保護し,温度センサー部に延長ケーブルを取り付け,本体保護のため密閉容器にいれ,自動温度記録計「スメ度ん」(図2)を作成した。天ぷら油と熱電対温度計を用い校正実験を行ったところ,決定係数R2値がほぼ1となったことから使用可能と分かった(図3)。回収時には熱電対温度計で実測し補正する。 火山ガス観測のため市販のガスセンサーの使用を考えたが,高温で多量の水蒸気が主成分の火山ガスの直接観測は想定されていないため冷却し,周囲の空気で希釈する方法を考えた。一昨年年度は希釈密閉容器を使用していたが,希釈空気の体積測定やガス検知管の併用が難しかったため,昨年度はポリエチレン袋を用いた希釈ポリ袋「KGロック」(図4)を作成した。これにより希釈空気の測定が安易になり,容器に火山ガスを入れるときや検知管で測定する際の体積変動を抑えられるようになった。火山ガスをシリンジで採取し湿布で冷却した後ガスセンサーと希釈空気を入れた「KGロック」に移し換算式を用い希釈前の火山ガス濃度を求める。測定する成分は岩崎らの経験則を参考にCO2・H2S・SO2とし,凝縮体積から水蒸気量を求めた。SO2の検知管はH2Sに感度があるため,検知管でH2Sを除去し測定する気象庁沢田の連結法を用いた。 (図5)は2022年6月12日~10月29日までの10分おきのデータを示し,縦軸が温度,横軸が経過時間である。(図6)は指宿市のアメダスデータを示し,折れ線グラフが気温,棒グラフが降水量,横軸が経過時間である。この期間の噴気温度はほぼ100℃と一定で,気温や降水量による大きな変動はほとんどないとわかる。しかし火山ガスの噴気量が少ない際に外気の影響を受けたり,大量の降水があった際に噴気孔に土砂や水が入り大きく温度が低下したりすることがあった。火山ガスの体積変動から目分量で水蒸気体積(図7)を求めたところ3地点とも80~96%であり,標準偏差は3程度であることから変動は小さくほぼ一定であるとわかった。平均値をとったところCO2(図8)は10000ppm前後,H2S(図9)は300ppm程度とわかった。またCO2,H2Sともに鰻池スメ広場>スメ谷>湯峰権現の順で値が大きいことがわかった。検知管でSO2を測定(図10)したところ0.1ppm以下であり,捕集した際の凝結水にSO2が溶けている可能性を指摘され分析を行ったところ湯峰権現>スメ谷>鰻池スメ広場の順に値が大きかったため,凝結水にSO2が多く溶け込んでおり検知管の値は低く出ていると考えられる。これらの結果により指宿火山群の火山ガスの組成はH2O>>CO2>H2S>>SO2とわかった。先行研究の箱根火山(大涌谷)と指宿火山群を比較するため指宿火山群のCO2/H2S比を求めたところ(図11),指宿火山群のCO2/H2S比の値は1~20であったのに対し箱根火山は20~60の値であることから,指宿火山群は箱根火山に比べ比較的火山活動が活発ではない状態で安定しているとわかった。 今後は「スメ度ん」の改良や,火山ガスの常時自動観測装置の作成に取り組み,将来の火山防災につながる基礎データの蓄積を行いたい。キーワード:火山ガス・自動温度記録計・簡易希釈法・火山ガス組成比

  • ★日本地質学会ジュニアセッション優秀賞★
    *学校法人池田学園 池田中学・高等学校
    日本地質学会学術大会講演要旨
    2023年 2023 巻 J1-P-11
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/10
    会議録・要旨集 フリー

    研究者氏名:(地象気象班)吉井 由,近森たお,長瀬楽々,川田代航汰,河元千代乃,鎌田美舞菜 私たちが住まう鹿児島県には11の活火山があり、火山防災は喫緊の課題といえる。そこで火山活動を把握し、最終的には活動の予知を行いたい。そして、そのために火山ガスの組成(種類と濃度の割合)を求めることにした。それは桜島がHF,HCl,SO2等の火山ガスを常時噴出しており、東京工業大学の平林が、火山ガス組成と火山活動の関係性に関して報告しているからである。一方、鹿児島県、市はSO2については大気観測所で観測を行っているがHF,HClは計測を行っていない。そこで高校生が,濃度比から噴火活動との関連を調べ、広域な火山ガス(HCl,HF,SO2)の濃度分布を把握するために簡単に火山ガスの濃度を測定できて、大気観測において実績のあるアルカリろ紙法による火山ガスの簡易捕集法と自作吸光度計による測定を行い、データを蓄積して、火山活動と照合した。 アルカリろ紙法とは、塩基が付着したろ紙に酸性ガスを中和反応で吸着させるものであり、Na2CO3 水溶液(70g/L)にろ紙を入れた後に簡易デジケータ内で乾燥させたろ紙(10×2cm)をつけて、一晩乾かしたものを用いた。そして、降灰や降雨からろ紙を守るために簡易曝露架台「ソーダ君」(図1、2)を作成、その中にろ紙を入れ、1週間から1ヶ月ほど県内15か所で調査を行った(図3)。 屋外設置を終えたアルカリろ紙からサンプルを作成して、「輝ちゃん」(図4、5)を用いた化学分析を行った。青色LEDと受光素子であるSiフォトダイオードを用いた。基板,針金とハンダを用いて組み立て、遮光には,黒色の薄いプラスチックを用いた。使用する際は,光を完全に遮断する。 HClには硝酸銀水溶液を用いて塩化銀比濁法を行う。SO2には塩化バリウム水溶液を用いて硫酸バリウム沈殿法にて濃度を行う。HFにはSPANDS試薬を用いて赤色の褪色を用いて濃度を測定した(図6)。いずれにおいても試薬との反応前後の測定値を記録し、吸光度を求め、検量線(図7~9)に代入し濃度を求める。検量線は標準溶液(HClにはNaCl水溶液、SO2にはNa2CO3水溶液)を用いて作成した。 昨年4月から12月までの各地の火山ガス採取量の質量をまとめたものが図10である。また図11は桜島南岳火口から最も近い赤水における火山ガス観測の結果である。これらの結果から我々のアルカリろ紙法でHCl、HF、SO2の測定が可能だということが分かる。 また、火山ガスの比率と噴火活動を照合するために、火山ガスの捕集量から求めた、Cl-/SO2、F-/SO2、 Cl- /F-の三種類のモル比/日と期間内の噴火回数の1日辺りの平均値を比較した。東京工業大学の平林は、HCl/SO2比が大きくなる時に火山活動が活発になることと、 それ以外にCl-/F-と、Cl-/SO2には逆相関があることを報告している(図12)。それを踏まえて我々の結果を見てみる。図13は桜島内の赤水における3種類の比率と期間内の噴火回数を求めた物で、棒が噴火回数、折れ線が比率を表し、縦が比率と回数を、横が観測期間を表す。Cl-/SO2が小さいときには噴火数も小さくなることが分かり、また、Cl-/F-が大きくなった後に、噴火が増え、 Cl-/F-が小さくなった後に噴火が減少する傾向が見られ、これも平林と一致し、我々は独自の方法で火山ガスの捕集を行うことができ、さらに測定した値から火山ガスの比率の振る舞いを割り出すことができ、将来的には火山ガスの予知ができるかもしれない。 今後の目標としては、現在のソーダ君は流入する空気の量が一定でないので、強制換気機能付きサンプラーを作成することや火山ガスのみでなく、火山灰にも注目し、火山灰を化学分析してみることなどをしたい。また、火山ガス観測を妨害しうる、海塩粒子や風向きによる影響を検証していきたい。キーワード:火山ガス、アルカリろ紙法、簡易曝露架台、自作吸光度計、比濁法

  • *学校法人池田学園 池田中学・高等学校
    日本地質学会学術大会講演要旨
    2023年 2023 巻 J1-P-10
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/10
    会議録・要旨集 フリー

    研究者氏名:重吉絢斗・西岡治弥・菱田琉斗・趙 戚軒 火山雷は噴火に伴った一般的な放電発光現象であり,噴火の際に噴出する粒子同士の衝突やマグマの破砕などによって噴煙が帯電して放電すると考えられている。しかし,火山噴煙の電荷分布や噴火現象による発生のメカニズムについての詳細は明確にされていない。また,桜島においては2008年からの昭和火口噴火において噴火回数が急増し,火山雷が頻繁に観測されたが,最近は南岳山頂噴火になり噴火回数が減少し,火山雷発生数も減少している。 我々は本年度から南岳山頂噴火における火山雷を対象に研究を始め,火山雷が発生しやすい噴火のタイプや噴火してから発生するまでの時間や発生する標高,さらにその際の火山雷の形状などについて特性評価を行っている。 火山雷を引き起こす噴火のタイプは,2011年に錦江湾高校西らが昭和火口での火山雷発生事象の分類と同様に,火口付近に高温の噴出物をまき散らす噴水型噴出するタイプと噴煙が円柱状に高く昇るカラム型噴出タイプの2タイプに分けられた。(図1)。また我々は火山雷を放電方向と長さの特徴から,火山雷の形状について5種類に分類した(図2)。火山雷の標高を測るときは,パソコンの画面での距離を実測し,換算して実際の高さを求めた。また,噴火情報は,鹿児島地方気象台の作成した「桜島噴火観測表」を基にした。夜間の火山雷動画は株式会社「財宝」の垂水ウェブカメラからの映像の提供を受けた。 現在,2022年の南岳で起こった噴火事象と2011年の昭和火口で起こった噴火事象を終え,その分析結果から火山雷発生時間や高度,噴火時の空振および発生高度と火山雷発生回数との関係を明らかにすることに取り組んでいる。 分析した結果,18事象中噴水型噴出は12事象で,カラム型噴火は6事象であった。 発生した火山雷のおよそ6割は,噴火したばかりの噴煙と山頂間の数メートルから十数メートルの点雷であった。さらに南岳において非常に明るい点雷も観察されたので,それを大点雷と名付けて区別した。次に数十メートルから数百メートルぐらいの縦雷が2割程度,同様に横雷が2割程度観察された(図3)。 カラム型噴火と噴水型噴出を比較すると,噴水型噴出は噴火直後に短時間に集中して火山雷が発生するのに対し,カラム型噴火は噴火後比較的長時間発生した。また火山雷の形状と経過時間に着目すると,小点雷は経過時間に関わらず発生。大点・縦雷・横雷・その他は、噴水型噴出においては噴火してから1分間に集中して発生していた。また火山雷のほとんどが1000m~1500mの間で発生していた。 さらに空振と火山雷の関係については,空振が大きい爆発的な噴火よりも空振が小さい噴火の方が火山雷の発生数が多い結果となった(図4)。このことは,単に噴火の規模が大きいということよりも噴火による噴煙の帯電状態が火山雷の発生を決めていることが伺われる結果となった。また,それぞれの火山雷の形状の発生数を比較すると,点雷が飛び抜けて多く,次いで横雷が多く発生し,縦雷とその他が同じくらい発生していた。 今後の目標としては,発生するすべての火山雷を観測するために,発生する鳴動(音波)やAMラジオなどで観測される電磁波観測に挑戦し,火山雷が観測しづらい日中に発生する火山雷や地形や噴煙の陰で発生する観測されにくい火山雷も含めた火山雷の全貌を捉えたいと考えている。キーワード:火山雷,噴水型噴出,カラム型噴出,点雷,縦雷,横雷参考文献 1)相澤広記,火山電磁気観測の進展,火山 第 61 巻 ( 2016) 第 2 号 345-365 頁2)西 歩美ら, 桜島の噴火に伴う火山雷の特性評価とそのモデルの提唱, 日本物理学会第8回Jr.セッション,口頭発表,鹿児島県立錦江湾高等学校

  • *学校法人池田学園 池田中学・高等学校
    日本地質学会学術大会講演要旨
    2023年 2023 巻 J1-P-9
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/10
    会議録・要旨集 フリー

    研究者氏名:末滿李紗・池田誠克・辻 健・伊東由莉奈・林首成・井料優良・東ひかる・川野仁子・小田平佑理・富川慎也・及川紗彩・及川 紗紬・小倉心美・加藤ほのか・中尾文乃1 江戸時代の気象を古文書の天候記述で復元してきた。今年は「稲束家日記(大阪・1758-1912)」を分析した。2 研究の目的「日記の天気の出現率」をもとに気象を考察し、日記記録の精度を測る「詳細率」(庄ほか,2017)と「日記の降水(雨雪)出現率」を説明変数、「大阪気象台の降水出現率」を目的変数として回帰分析を用い、1882年以前の「大阪気象台の降水出現率」を復元する。3 研究の方法天気は気象庁の「出現率」の分類に近づけて、雪→雨→曇→晴と判別した。また、「晴」と「曇」が併記されている日は、1日のうち、8.5割以上曇っていれば「曇」、8.5割未満であれば「晴」と、空間分布を時間分布に換算して判断した。4 データ処理及び「詳細率」データは155年間で53,210日であった。詳細率とは名古屋工業大学の庄らによる独自の関数で、①複数種類の天気が併記されていたり、②時間変化に関する記述や③降水規模の記述がある日数の年比率である。5 考察⑴データ①:晴の出現率で日照時間の復元7月の日記の晴の出現率と、1890年に気象台で観測が始まった日照時間の1日の平均値(h)をプロットすると、直線性がよい。単回帰分析で復元すると、7月の日照時間の最高は1853年で、最低は1807年であった。⑵データ②と考察:曇の出現率と太陽黒点数「宇宙空間から飛来する銀河宇宙線が地球の雲の形成を誘起する」というスべンスマルクの仮説を知り、曇の出現率と比べた。太陽活動が低かったダルトン極小期に曇の出現率が高くなっている。⑶データ③と考察:降水出現率の復元「日記の降水出現率」x₁と「詳細率」x₂を説明変数、「気象台の降水出現率」yを目的変数として重回帰分析を用いて分析を⾏った。1758年から1882年の間の「降水出現率」を復元すると、傾向は右肩上がりになっており、徐々に気温が上昇していたことを示唆する。⑷データ④と考察:降雪日数比の周期性と気温先⾏研究によると、降雪日数比は11月-3月の「雪日数」を「降水日数」で除して求める。大阪で気象観測が始まった1883年以降の11-3月の降雪日数比と気象台の日平均気温(℃) は相関係数が-0.526である。江戸時代も同じ相関があるとすると、復元期間(1758-1882)で最も気温が低かったのは、天保の飢饉の1838-1839年の冬期だと考えられる。6 まとめ⑴ダルトン極小期に曇の出現率があがり、スべンスマルクの仮説を支持する結果となった。⑵「降水出現率」を回帰分析で復元すると、1758年から1912年にかけて右肩上がりで、気温の上昇が続いたことを示唆する。⑶1883年以降の11-3月の降雪日数比と気象台の日平均気温の相関係数は-0.526で、一番気温が低下したのは天保の飢饉の1838-39年の冬期だった可能性がある。7 今後の展望復元データを正とし、同じ池田市で書かれた「伊居太神社日記(1714-1850)」で、時期を遡り復元する。8 参考文献1)庄建治朗, 鎌谷かおる, 冨永晃宏:日記天気記録と気象観測データの照合による梅雨期長期変動の検討, 水文・水資源学会誌, Vol 30, No 5, pp 294 –306, Sep 20172)田上善夫:11-16世紀の日本の気候変動, 富山大学人間発達科学部紀要 第10巻第2号 205-219, 20169 キーワード稲束家日記、詳細率、重回帰分析、降雪日数比

  • ★日本地質学会ジュニアセッション奨励賞★
    *学校法人池田学園 池田中学・高等学校
    日本地質学会学術大会講演要旨
    2023年 2023 巻 J1-P-8
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/10
    会議録・要旨集 フリー

    研究者氏名:末滿李紗・池田誠克・辻健・伊東由莉奈・林首成・井料優良・東ひかる・川野仁子・小田平佑理・富川慎也・及川紗彩・及川 紗紬・小倉心美・加藤ほのか・中尾文乃1 研究の動機江戸時代の気象を調べるために、古文書の天候記述を分析している。天候記述から得られた「降水出現率」は記述の詳しさの影響を受けているとされ、実測値の復元に重回帰分析を使ってきた。しかし、「ピアニの方法」を知り、重回帰分析と比較することとした。今回は、江戸時代から明治時代にかけて書かれた、「鈴木日記」(1844-1883)を検討の資料とした。鈴木日記は下椚田村狭間(現:八王子市狭間町)に居住していた鈴木佐次右衛門の農事日記である。2 研究の目的東京気象台の実測値を使って回帰分析で降水出現率を復元し、ピアニの方法で降水出現率を復元して回帰分析と比較する。さらには、回帰分析をする際に、「詳細率」(庄ら,2019)以外に、私たちが独自に考えた1日あたりの天候記録文字数から求められた、「日平均文字数比率」を説明変数に加えられないか検討する。3 データ処理及び「詳細率」取得したデータは39年間で、13,236日だった。「詳細率」以外の「天気の出現率」の集計では、1年の1/3の欠測のある年と2月29日も集計から削除した。4 研究Ⅰと考察 古文書の天候記述の信憑性について先行研究(平野ら,2018)によると、J.C. Hepburnが1863年から1869年まで横浜の降水量等を記録している。1868年の多雨傾向を鈴木日記で検証みると、過年度のデータベース「鈴木日記」でも1868年の多雨の傾向が認められ、古文書の天候記述も優れた時間分解能を持つと考える。5 研究Ⅱと考察 重回帰分析による実測値の復元とピアニの方法鈴木日記が書かれた、1844~1883のうち、1875年以降は東京気象台の観測がある。そこで、「日記の詳細率」と「日記の降水出現率」を説明変数、「気象台の降水出現率」を目的変数として回帰分析で復元すると、1849年の降水出現率56.4%が最高であった。また、ピアニの方法で復元すると、1849年の降水出現率58.3%が最高となる。2つの復元値の平均値の差は0.62%で、相関係数は1.00であった。ピアニの方法は、「何かしらの分析によって求まったモデル値を実測値に近づける方法」である。6 研究Ⅲと考察 新たな説明変数「日平均文字数比率」日記は天気の変化が激しくなると、文字数が増える。そこに着目して、1年ごとに「日平均文字数比率」を算出した。「日平均文字数比率」は1日あたりの天候記述の文字数を、年間の合計文字数で除して求める。鈴木日記の最低値は1848年の2.9文字/日、最高値は1949年の5.9文字/日であった。「日記の降水出現率」があがると、「日平均文字数比率」もあがると予測したとおりになった。このことから、「日平均文字数比率」は新たな説明変数として、復元に使える可能性があると考えてさらに検討する。7 研究のまとめ⑴「日記の詳細率」と「日記の降水出現率」を説明変数として、「気象台の降水出現率」を目的変数として重回帰分析で復元した値と、ピアニの方法の相関係数は1.00であった。⑵「天候記録・日平均文字数比率」を調べると、「詳細率」との相関係数が0.83で降水出現率の復元で新たな説明変数として使えると考える。8 キーワード鈴木日記、詳細率、重回帰分析、ピアニの方法、日平均文字数比

  • *学校法人池田学園 池田中学・高等学校
    日本地質学会学術大会講演要旨
    2023年 2023 巻 J1-P-7
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/04/10
    会議録・要旨集 フリー

    研究者氏名:中学3年:茶屋道玲、中2年:廣田瑛南、廣田珂南1 研究の動機私たちの学校は鹿児島市西別府町(海抜93.5m)にある。約1㎞先の松元町にはお茶畑が広がり、学校周辺も霧が大変多い。また、少し高台にあるので学校は雷の被害が頻繁にあり、令和5年7月11日にも体育館への落雷で火災報知器が壊れた。 _授業中に先生が「学校が開校した30年前より霧は減っているような気がする。しかし、雷はとても増えたような気がする。」と言った。本当に雷が増えて、霧は減ったのだろうか。先生の話から、気象台の記録で霧と雷の変化について調べてみたいと思った。2 研究の目的 「霧が減って、雷は増えた」という先生の話は本当なのか気象庁のデータで調べてみる。3 研究の方法 気象庁のホームページから観測データ調べて、「霧」と「雷」の発生回数の推移を調べて、その変化を考える。増加・減少の傾向はExcelでグラフを作り、近似直線を引いて、係数で判断した。同時に因果関係のありそうな気温と降水量の変化も調べた。この時、観測方法や観測地点の変更があるデータは均質な期間のみを使った。4 結果研究⑴ 鹿児島県内の雷気象庁のホームページでは、「雷は、大気中で大量の正負の電荷分離が起こり、放電する現象。放電する際に発生する音が雷鳴で、光が電光1)」とある。鹿児島気象台の雷回数は1931年から年々増加傾向にある。また、鹿児島県内の7地点(枕崎・種子島・名瀬・阿久根・屋久島・沖永良部)の雷も増加している。雷の増加の傾向はExcelでグラフを作り、近似直線をひくと、増加傾向を示す直線の傾きが一番大きいのは鹿児島気象台で、y=0.19x+12.7という近似式であるかことがわかった。研究⑵ 鹿児島県内の霧霧とは地表近くの空気中に細かい水滴が浮遊するもので、気象観測では水平視程1km未満の場合をいう2)。鹿児島県内各地の霧は、鹿児島・枕崎・種子島・名瀬、屋久島・沖永良部の6地点で調べた。年々減少の傾きが大きいのは屋久島で、傾きは-0.21だった。しかし、隣の種子島は0.01でかすかな右肩上がりであった。研究⑶ 全国の雷私たちが調べた全国主要都市17カ所(北海道、青森、岩手、新潟、富山、茨城、東京、静岡、長野、愛知、大阪、岡山、広島、高知、和歌山、山口、福岡、大分、長崎)の気象台の記録では、すべての地点で雷の発生が増えて、霧が減少している。近似直線の傾きが一番大きかったのは、富山で、0.25であった。5 考察「霧日数」は鹿児島県内(阿久根以外)でも、全国17カ所でも、減少していた。これらの地域は気温も上がっており、地球温暖化が原因だとすると、気温が上昇して、空気の飽和水蒸気量が大きくなり、空気中の水滴は蒸発して水蒸気になるために霧が出なくなっているのではないだろうか。雷日数は全国17カ所で増加していることがわかった。これらの地域の降水量も増加している。 _雷は降水量の上昇(強い雨)や飽和水蒸気量と因果関係がある可能性もあるので今後分析を進める。6 今後の課題 霧と雷の変化と関係する別な気候の要素との関係がないか分析する。7 参考文献1)気象庁ホームページ2)「気象・天気の新事実」木村龍治著、2015、新星出版社8 キーワード 霧、雷、近似直線、鹿児島気象台

  • 独立行政法人科学技術振興機構
    JSTnews
    2007年 4 巻 7 号 6-9
    発行日: 2007年
    公開日: 2021/02/15
    ジャーナル フリー

    科学を愛する全国のスーパーサイエンスハイスクールの高校生が集う、 年に一度の生徒研究発表会。日頃の研究成果を思い切りぶつけ合い、高め合った、 熱い真夏の2日間の模様を、高校生たちの生の声とともにレポートする。

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