言語を人に何かを伝えるというコミュニケーションのための道具と考えた場合、どれだ け言語に関する知識を積み上げても、それによって何が伝えられるのかという点に着目しなければ、言語教育としては片手落ちだ。英語の知識を実際のコミュニケーションで使いこなしていくためには語用論的知識が欠かせない。なかでもポライトネスの概念は重要である。ところが現在の英語教育の場では、指導時間の不足など、さまざまな原因によってポライトネスについて学ぶ機会はごく限定的なものになっている。そこで本稿では、大学生を対象に Brown & Levinson (1987) の提案するポライトネス理論を枠組みとして、映画および字幕翻訳を使ってポライトネスについて学ぶことを提案し、それによって言語教育にどう貢献できるかを議論する。
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