動脈硬化と食餌因子との関連については多くの研究があるが, その中で糖質の影響を考える場合, たんに糖質の質のみでなくこれに組み合わされる脂質の種類が重要であると考えて, 以下の組合せにより高脂肪食の際の糖質の影響を脂質代謝の面から検討した。
体重150g前後のウイスター系白ネズミ雄に, 次の4種類の食餌を与え20週間飼育した。カゼイン20, 糖質37, 脂質30, コレステロール5, コール酸2, チオウラシル0.3, 塩混合4, ビタミン混合1.5, 塩化コリン0.2, 糖質と脂質の組合せは, 米でん粉+大豆油, 蔗糖+大豆油, 米でん粉+バター, 蔗糖+バターの4群とし, 5, 10, 15, 20週目に屠殺, 血液および肝の脂質分析と腎, 心, 肝, 脳, 大動脈の組織学的検索を行なった。
血清の中性脂肪は, 大豆油群では米でん粉を与えたものより蔗糖を与えた方が高く, バター群では逆だった。
血清コレステロールは, 大豆油群では米でん粉, 蔗糖の間に著明な差はなく, バター群では5週目に蔗糖群が米でん粉群より高かったが長期飼育では逆であった。
血清リン脂質は, 大豆油, バター群とも初期には米でん粉群より蔗糖群で高かったが長期では差はなかった。
肝総脂質, コレステロールは, 糖質による著明な差はなく, バター群で低く, 血清での傾向と必ずしも一致しなかった。
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